二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナイレ 【薔薇の倉庫】暑中見舞い受付中! ( No.805 )
- 日時: 2011/08/22 12:40
- 名前: 薔薇結晶 (ID: r2A2j.BO)
- 参照: http://bluerosebreak.blog.fc2.com/
『眼〜eyes〜』
——AO——
「夏未〜」
陽気だが疲れきった声が、12層目のレストランで聞こえる。
「あら、円堂君。…どうしたの?」
「疲れた」
「すまん、最近連日でテーブルに立ってたから…」
「風丸君も…」
「「何か適当に作ってくれ」」
見事にハモった。
どうやらお腹が減っているらしい。
「わ、分かったわ…」
苦笑しながら了承した。
それを聞いた後、キッチンへ向かう。
この場所は12層目の中央街なのだが、かなりひっそりしていて、あまり眼がつかない。
≪夏夜(サマーナイト)≫。雷門夏未が経営する料理店だ。
「さぁ、始めましょうか」
魔法陣を一気に開いて、出てきたのは無数の小型モンスター。10〜20くらいの数だ。
夏未が卵…この世界ではモンスターの卵なのだが、その中でも少々大きめの卵を3つほどポイッと投げる。
それを7層目の小型モンスター【ファイア・セラフィム】2体がブレスの炎を浴びせる。
落下してきた卵を、5層目の小型モンスター【スプラッシュ・シュープ】が2体が冷水で冷やし、1体が尻尾で殻を叩き割る。
焼き卵の完成。
「おぉ!」
「じゃぁ、次よ」
と、【ファイア・セラフィム】を魔法陣の中に戻し、また別のモンスターで料理を始めた。
次々とモンスターを戻しては出しを繰り返す。
5分ほどで全ての料理が完成した。
「流石だな、雷門」
「いっただっきまぁ「手を洗ってからにして頂戴」…はい」
魔法陣をパッと開いて、【スプラッシュ・シュープ】と【バブル・モモンガ】を1体ずつ。
【バブル・モモンガ】の泡で手を洗い、【スプラッシュ・シュープ】の水で洗い流す。
「どうぞ」
「いただきま〜す!!」
「いただきます」
出来た料理は、此方の世界で言う丼系統のものだ。
もちろん、彼らは箸の扱いに慣れているので、それを使う。
「美味いッ!!」
「そう、良かったわ」
「(微笑ましいな、この2人)そう言えば雷門」
「何?風丸君」
「さっき見慣れないモンスターを見た気がするんだが…」
「あぁ…、きっとこの子よね」
しゅぱん、と音を立てて出てきたのは、小さな天使に見えるモンスター【パワー・ケルビム】。
「この子、結構力あるから、2体居ればお肉が運べるわ」
「この前まで4体くらい使ってたもんな〜」
良く見てるな、と風丸が言う。
まぁな!と二カッと笑う円堂。
「…あと、これからお客さんが来るんだけど」
「マジで!?」
「誰だ?」
「多分会った事無いから分からないと思うわ」
「ふ〜ん…」
「さて、食べ終わった事だし店に戻るか」
「そうだな!トランプ並べないといけないし…、」
「暇になったら行くわ」
「分かった!御馳走様、夏未」
<<カランカランッッ>>
「…来る、は間違いだったわね。来てる、が正解だったわ」
「あはははは…気配消してたから円堂さん達にはばれなかったみたいですけど」
すたん、と天井から着地した少女の眼は紺。髪の色も紺。
濃い灰色のブレザーに、黒の細いリボン、紅いプリーツのミニスカート。
「潜入はお手の物ね、音無さん」
「もちろんですよ!これを武器にしてるんですからね」
「…で、どうだったの?」
「特に変わった事は無かったです。一昨日までは」
「何があったの?」
「≪天体観測≫で武器を購入してました。かなり価値のあるものだと思います」
「分かったわ。で、もう片方は?」
「これ見たら分かりますよ」
と、音無春奈は紺色の紙の束を夏未に渡した。
白い文字で書かれている、それは新聞だ。
その内容を見て、夏未は驚愕した。
「……普通こんな所には乗り込まないでしょうに…」
「それ、依頼だったみたいです」
「な…何ですって?」
「依頼だったんです。調べた結果、分かりました」
「誰からの依頼なの?こんな所に乗り込ませる様な魔族は誰なのよ」
「…“薔薇の女王”でした」
「そう…、引き続きお願いするわね」
「了解です!」
敬礼すると、春奈は魔法陣の中に飛び込んだ。
「絶対にどちらかが持っているわ…、季節崩壊呪文≪ブロークン・シーズン≫の魔法書を……!!」