二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン right and darkness story  ( No.55 )
日時: 2011/01/03 22:05
名前: のーむ (ID: YnXlFcJ5)

第8話 文奈の過去

その夜、零と文奈は頭領の家に招待された。頭領の家はこの里のなかで一番大きかった。
頭領、そして零と文奈が座布団に座った。
「烈、おぬしは下がっていなさい。」
「…はい、頭領。」
そう言って烈は部屋を出て行った。
「で、まずは何がなんなのか、全部説明してもらうぜ。」
「ふむ…、まずは自己紹介といくかのう。わしの名前は、霧ヶ崎乱蔵『きりがさきらんぞう』じゃ。よろしくな。」
「ああ。で、まずはこの村について話して貰おうか。なぜここはジョウト地方のどこにも街にも属してないんだ?」
「それはのう…。」
乱蔵は少し間を空けたあと、口を開いた。
「わし等は霧の民と呼ばれておってな。ここの里の者たちは不思議な力を持っておって、ポケモンと心を通わせあってたんじゃよ。じゃが、その力ゆえに他の街の人間から化け物扱いされ、国外へと追放されたんじゃよ。それ以来、この里は外部との交流を一切持たず、独自の文化を築いていったんじゃよ。それがこの里なんじゃよ。」
「なるほどな…。この里の人間が宿している力ってのはどういうもんなんだ?」
「それは色々あってのう…。明日の天気がわかったり、傷ついたものを癒す力だったり、人によって様々な能力があるのう。」
「なるほど…。で、次は…。」
「どうして私をこの里に連れてこようとしたんですか?」
零が次の質問をする前に、文奈が口を開いた。
「うむ。それはの、お前さんの能力に関係してくるんじゃよ。」
「私の…能力?」
「そうじゃ、君の能力は…「ちょっと待て。」ん、なんじゃ?」
乱蔵の言葉を遮り、零が
「能力って、つまりは文奈はこの里の出身って事なのか?」
「いかにも。能力はこの里で生まれた者にしか宿らんからな。」
「…そうか。」
「話を戻すぞ。君の能力は、ポケモンの異常を感知できるという極めて稀な能力なんじゃよ。」
「異常を…感知、ですか?」
「そうじゃ。そしてそれは、ある事件を解決するのに重要な役割を果たすのじゃよ。」
「ある事件?もしかして…。」
文奈が何かを思いついたように顔を上げる。
「シャドーか…。」
零も少し深刻そうな顔だった。
「うむ。奴等はどういうわけか、ポケモンの心を閉ざし、心を邪悪化することでポケモンを戦闘兵器として使おうとしておるのじゃよ。」
「「!!」」
乱蔵の言葉に二人は驚愕の表情を浮かべる。
「邪悪化したポケモン、ダークポケモンは、通常のポケモンでは覚えない新しい技を覚えておるのじゃ。」
「新しい技?」
文奈が首をかしげた。
「やつらが放ってくるダーク系の技は、通常のポケモンに効果は抜群なんじゃよ。」
「そっか、それで烈君のオノノクスはあんなにダメージを受けていたんだ!」
「おそらくはな。」
「で、なんでそんな事をあんた達は知ってんだ?」
「…わしらは、能力者ゆえに国から迫害されたと言ったであろう?奴等はどこから聞いたのか、この里にいる能力者の存在を知り、攻撃を仕掛けてきたんじゃよ。恐らくは、ダークポケモンから発せられる肉眼では見えない特殊なオーラを見ることのできる人間がいるのではないかと危惧したんじゃろう。じゃが、この里にはそんな力を持った人間など一人もいなかった。そしてシャドーはこの里のことを忘れ、里に平和が戻ってきたんじゃよ。」
「なるほど。でもそれと文奈と、どういう関係があるのかさっぱり話が見えてこねえんだが?」
「まああせるな。シャド−襲撃から10年たったある日のことじゃった。里の若者が1人、焦ったようにわしの所に来た。なんでも里の外部に能力者がいるとの情報を掴んだらしく、シャドーもそれに知りそやつの確保に向かっている、とな。そしてそれを防ぐために送ったのが烈というわけじゃ。」
「じゃあ、私は霧の民の人間だということですか?」
「うむ。能力を使えるのは我々霧の民しかおらんからのう。」
「じゃあどうして霧の民がワカバタウンの孤児院にいるんだよ。文奈は…「捨てられたのよ…。」!」
零の言葉を遮り文奈は悲しそうにそう言った。
「…真実が知りたいか?」
乱蔵は強く、そしてやさしく言った。
「真実、ですか?」
「そうじゃ。君は捨てられて等おらん。」
「え…?」
衝撃の事実を聞かされた文奈は、
「どういう…ことですか…?」
信じられないといった風に首を振った。
「だって、私は孤児院の前に捨てられていたって…。私が捨てられた日、私を孤児院の前に置いて行った男の人と女の人がいたって…。」
「落ち着け、文奈。」
零は錯乱していた文奈を落ち着かせようとしたが、文奈はショックの余り家を飛び出した。
「文奈!」
零は文奈を追おうとしたが、
「まあ待て。話を最後まで聞いてくれ。」
それを乱蔵に止められた。
「あんた、文奈を混乱させてどうする気なんだよ…!」
零はぎろりと乱蔵を睨み付ける。
「そう睨み付けるでない。あとはお前さんへの話を済ませるだけじゃから。」
「…早くしてくれよ。」
零は立ったまま不機嫌そうに答えた。
「君に頼みというのは、シャドーの壊滅を依頼したいんじゃよ。」
「そんなのは警察に任せりゃいいんじゃね—の…と、言いたいところだが、警察ごときじゃダークポケモンをもったシャドーに適うはず無いか・・・。」
「その通り。じゃから、4地方のチャンピオンを制覇した最強のポケモントレーナーである君にお願いしたい。どうか引き受けてくれないだろうか。」
乱蔵はそう言って頭を下げた。
「…言われなくてもそうするつもりだったさ。やつらを野放しにしておいたら、また文奈が危険な目に合う。だから引き受けるも何もねーよ。」
それを聞いた乱蔵は嬉しそうに、
「うむ。ではもう一つ頼みがあるんじゃが…。」
「なんだよ、まだなにか厄介事を押し付ける気か?」
零はまだ何かあるのかよといった顔で睨み付ける。
「うむ。烈を一緒に連れて行ってほしいんじゃよ。」
「なんでだよ。」
「あの子の両親は10年前にシャドーに襲われたときに殺されてしまったんじゃよ。それ以来、烈は心を閉ざし、あんなにも無口になってしまったんじゃよ。」
「………………。」
「じゃが、お前さんの傍においておけば、烈の心に何か変化が起きるやもしれん。だから連れて行ってくれないか?」
「…別にいいけどよ。」
そう言って零は立ち上がり、
「んじゃ、ちょっとばっかし行くぜ。文奈探さないといけないんでな。」
「うむ。」
零はそう言って乱蔵の家を後にした。





の「今回は後書きは無しの方向で行きます。なぜなら、文字数オーバー のせいで8話の一部が書けなくなったためです。という訳で、9話は すぐに更新できると思います…多分。」
零「では、次回もお楽しみに!」