二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 少年陰陽師*双月恋妖絵巻* ( No.161 )
日時: 2012/03/06 04:28
名前: 翡翠 (ID: InPXp75X)

〜紅蓮〜

名を呼ばれて目を覚ましたとき、視界に映った緤菜の姿に酷く安心した。
そうして、変わらぬ笑顔で俺を見てくれたことに、何を不安に思っていたのか馬鹿馬鹿しくなったんだ。

そして、己が欲望のままに緤菜を腕の中へと掻き抱いた。
そうすることで、今目の前に居ることを確認して……。

何も出来ていない事も思い知らされた。
牛鬼の時も俺は何一つ手助けすることが叶わなかった。
本当に名ばかりだと、一件が済んでからも思うようになった。

だが……それは俺が自ら動くことをしなかったために生じた事。
同じ失態は二度としない。

そう、心に刻んで、緤菜から体を離した。
昌浩も今度こそ守り通す。もちろん、目の前で笑っている緤菜も辛い思いはさせるつもりはない。

口だけで終わる事が無いよう、俺は秘かにもそう誓っていた。