二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜5話更新 ( No.12 )
日時: 2011/03/13 16:44
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

6話〜自然災害の目的〜




「うるあぁぁぁぁ!!超絶ナックル!!」

ギャリナが地面をも砕く一撃を放つ。だが、シャーナには当たらない。

「君、もう少しデリケートに戦うこと出来ないの!?
こんなんじゃ、一生地面を砕くだけで終わっちゃうよ!」

「知るかぁぁ!!」

ギャリナがまた突っ込んでくる。それにシャーナはギャリナが砕いた
事によって出来た岩を蹴りつけた。

「レイ」

岩がギャリナに向かって飛んでいく。ギャリナはそれを拳で砕くと、
さらにシャーナへと迫る。

「ベクトル変換・バック」

「くっそぉ!またかよ!!」

ギャリナの体がまた後ろへと戻される。だが、今度はそれだけではなかった。
ギャリナの真上には、シャーナがギャリナに岩を飛ばした間にセットした岩が配置されていた。

「サン!」

岩が急降下してくる。だが、ギャリナはそれにも自分の拳を突きだした。
同じ岩でも重さが違えば威力も変わってくる。ギャリナは苦しんだが、

「うおおおおおおおおお!!」

拳に纏わせている魔力を高めて岩を破壊した。それにシャーナが少し驚いた表情を見せた。

「今ので拳が壊れなかったんだ。ちょっと驚いたな」

「きゃはは!この俺が岩如きで倒せると思ってんなよ。クソアマーー!!」

再び向かって来るギャリナにシャーナはため息をついた。

「熱い男は嫌いじゃないけど、君は少し熱すぎだね」

シャーナはそう言うと自分も攻撃の構えをした。それにギャリナが嬉しそうに笑った。
肉弾戦なら自分は負けはしないと。ギャリナは体を高速で回転させ足を伸ばした。

「ハイパー回し蹴り!!!」

回転の遠心力と魔法の効果で鋼鉄をも砕く一撃を放つギャリナ。だが、

—トンッ—

乾いた音とともに、ギャリナは目を丸くした。自分の放った一撃を軽く受け止められたからである。
しかも片手で、いとも簡単に。

「私は魔法で操れるのは重力なんだけどさ、重力って何か知ってる?
よくこの大地の万有引力だけって思ってる人もいるけど、遠心力なんかも重力一種なんだよね」

シャーナは左手でギャリナの足を掴むと、右手で握り後ろへと構えた。

「今のは君に働いていた遠心力を0にして、ベクトル変換を蹴りの方向と真逆にしたから蹴りの威力を殺したの。
攻撃力を増加させる君の魔法も、元々が弱いんじゃ効果は出ないんだろうしね。だから、これで終わり。

小槌の重撃(ヘビィ・ショット)!」

右手を僅かに前に出す。と、右手にブースターでも仕込んでいたかのように急加速して、
ギャリナを打つ抜いた。ギャリナはそのまま吹っ飛び倒れた。
ギャリナが動かないことを確認してから、右手を振った。

「う〜〜。腕がビリビリする。ま、仕様がないか」

シャーナはそのままシトが戦っている方へと向かった。そこに向かうとすでに勝負はついていて、
シトのそばではナドが倒れていた。

「そっちは終わったの?シャーナ」

「うん。そっちも終わったみたいだね。・・・・それにしてもこの穴すごいね」

シャーナがそう言って覗きこんだのはシトが作った穴。底が見えない程だ。

「これ、この人直撃したんだよね?よく助かったよね」

「正直僕も分かんない。本気でもやっても死なないだろう思ってやったけど、
本当に死なないなんてね。人間って不思議」

「まあけど、この人が生きてたのは都合が良いかもね。理由が聞けそうだし。
まずそのためにはこの人に目覚めてもらわないと」

————————————————————

「評議院の壊滅です」

ナドの放った第一声がそれだった。

「どういうこと?」

「ふふっ。単純な話ですよ。我々を闇に落とした評議院を恨むのは当然の事。
その手段として用いたのが生体砲弾・キメラ」

「生体砲弾?キメラ?あの妙な怪物の事?」

聞きなれない単語にシャーナが返すと、ナドは軽く笑った。

「そうですよ。我々が生み出した魔法でモンスターを改造し、モンスター自体を砲弾に変え
評議院に打ち込むという作戦ですよ。あの近辺のクレーターはその実験の途中の
試し撃ちのために出来たものですよ。そして今、百体のキメラを
評議院に導入するために準備している」

「そんな・・・」

一体であの破壊力のあるキメラを百体も打ち込めば、間違いなく評議院は潰れる。
どうしたらこれを止められるのか、シャーナが考えていると

—バキッ!—

痛い気な音が聞こえ見ると、シトがナドを殴りつけていた。更に殴ろうとするシトを止める。

「ちょっとシト!どうしたの?・・・・・」

シャーナはシトの顔をみると固まった。シトは泣いていたのだ。

「あなたたちの下らないエゴのために、どうして他の生物が苦しまなきゃならないんだ!!」

「ふん!苦しむ?先ほどもそのようなことを言っていましたが、そんなはずはないですよ。
なぜならキメラとなったモンスターどもには、改造途中に心をなくさせてもらいましたから。
あれは生きる砲弾。砲弾に感情などいらないでしょう?」

「っつ!!この・・・・!!」

更に殴ろうとするシトにシャーナは止めた。

「これ以上この人を殴ったら、君もこの人たちと同じになっちゃうよ」

「どういうこと!?」

睨むシトにシャーナは落ち着いて言った。

「君も自分のエゴのためにこの人を殴ってる。そう言ってるの」

「!!僕はそんなんじゃ・・・・!!」

「本当にキメラにされてるモンスターたちのことを思っているなら、
するべきことは彼を殴る事じゃないはずだよ!」

「・・・・・・」

シトは暫くそのままじっとした後、シャーナの腕を振り解いた。

「これだから人間は嫌いなんだ。傷つけた相手を庇い、労わることで自分はこの世で一番偉いんだと思い込む。
あなただってどうせそうでしょ?僕を助けて僕の手伝いをする事で優越感に浸り、
この人を助けることで自分で自分の事を格好良いとか思ってるんでしょ?」

「・・・・・シト」

「やっぱ僕は人間と過ごすなんて無理だったんだ。大嫌いな人間とだなんて。じゃあね、ばいばい」

シトはそう言うとシャーナの言葉を待たずにその場から消えた。
シャーナは暫く考えた後、村へと戻って行った。