二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜6話更新 ( No.13 )
- 日時: 2011/04/17 12:52
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
7話〜ギルドマスター・ディオ〜
「ここか・・・・・」
シトは一人、荒野に佇んでいた。あれからシトはキメラの発する臭いを頼りに、
自然災害のアジトを探していた。そして今この場所が、一番漂っていたのだ。
目の前には荒野には似つかわしくない一軒家が一つ。シトは覚悟を決めると、そのドアを押した。
「ようこそ。我がアジトへ」
ドアに入った瞬間耳元でそう囁かされ、驚きながら振り向くがそこには誰もいない。
と、突然体に異変が起き始めた。体の力がどんどん失われていき、
立っていることも儘ならない状態になってしまった。
「なん・・・・だ・・・・。これ・・・・・」
シトがそう不思議がっていると、目の前に一人の男性が現れた。
一見ひょうきん者のような男性だが、放たれている魔力が異質なことにシトは唾を飲み込んだ。
「どうだ?全身の力が抜けていく感じは?」
男性が笑顔でそう言った。どうやらこの原因はこの男の仕業らしい。
「なにしたの?」
「ん〜〜〜〜??何もしてないよ。ただ単に君が俺を怖がってるんじゃないの〜〜〜」
男はそう言いながらシトを蹴り飛ばした。体に力が入っていないシトの体は
まるでボールのように吹っ飛び床にバウンドする。
シトは蹴られた場所から伝わる感触に、ようやく自分の体に起きている異常の原因がわかった。
本当にあの男の言う通り、シトはこの男から発せされる魔力の中てられて可笑しくなっているのだ。
男の異質な魔力がこの空間を埋め尽くしている。まるで、このフロア一体が、
この男の体の中のような空間へと変わっている。
「おっとっと。自己紹介もないしいきなり蹴って悪かったな。
俺の名前はディオ。ギルド・自然災害のマスターだ」
「お前が・・・・自然災害の・・・・・!!」
「お!」
ディオは感心したようにシトを見つめた。震える手足を必死に抑えながら立ち上がったのだ。
「どうして・・・・評議院を・・・・・」
「何?もっとはっきり喋らないと、聞こえないぞ?」
ディオは耳をシトに寄せて、シトの言葉を待った。
ディオの魔力に吐き気を感じながら、懸命に絶えシトは続けた。
「今すぐ・・・・モンスターの改造を止めるんだ!!」
—ドボッ!—
「ゴフゥッ!!」
ディオの蹴りがシトの鳩尾に入る。シトは激しく吹き飛ばされ、尚且つ大量に吐血する。
その後ディオは何事も無かったかのように口を開いた。
「うんうん、わかるよ。正規ギルドの君からすれば俺らのやってることは異常だ。
キメラにされてるモンスターが可哀想だよな〜〜〜。うんうん。・・・・・けど」
ディオはシトに近づくと、その髪を掴み顔を上げさせた。
「そんなこと、闇ギルドの俺らには関係ねぇことなんだよ。評議院が潰れたら困るだとか、
モンスターのことなんて俺らが知ることじゃないんだよ。わかったかい?」
その時シトが見たディオの笑顔は先ほどまでとは違い、歪んでいた。
先ほどまでのを作った良い笑顔だとすると、今は本当の汚い笑顔と言いべきだろうか。
「分かったら・・・・そこで大人しく死んでろ」
ディオは再びシトを蹴り飛ばすと、ポケットから幾つかビー玉のようなものを取り出した。
何をするのか、シトが吹き飛ばされながら見ていると、そのビー玉がいつの間にか自分の目の前まで来ていた。
—ドドドドッ!—
鈍い音を立てながら、ビー玉がシトの体にめり込む。ディオはそれでシトが死んだと思い、
シトに背を向ける。だが・・・・・
「っつ〜〜〜〜〜!!」
シトが軽く悲鳴を上げながら起き上がる。それにはディオも驚いていた。
「へ〜〜。俺の弾丸を喰らっても死なないなんて、君もやるね」
「弾丸?」
「そう。俺はこの手で触れているあらゆるものを弾丸のスピードで撃ち出せるんだ。こんな風にね」
ディオはそう言うと、手のひらを差し出した。手の上には何もないが、
突然シトの足元の床に風穴があいた。
「驚いた?今のは俺の手に振れている空気を撃ち出したんだ。これでも結構威力あるんだぜ」
「!!!」
シトは自分が狙われると思い、その場から動いた。だが、足腰が上手く立たず
両腕両足に空気の弾丸を喰らい、その場に倒れこむ。
「やっぱ頑丈だな。普通なら体貫通してても可笑しくはないんだけどな」
「・・・・・まさか、モンスターたちもこんな風に弾丸にしたの?」
シトが歯を食いしばって立ち上がる。それにディオはああ、と言った。
「苦労したんだぜ?俺の魔法は生物には効かないからな。
最終的には周りに装甲させた金属を飛ばすことにしたんだがな、威力が出るか心配だったんだ・・・・・。
あれ?そういや実験させてた奴を見に行った奴らが戻って来てねぇな。
なあ君、何か知らないか・・・・・・?」
余裕の表情を見せていたディオの表情が変わった。それは自分の頬を流れる液体に気がついたからだ。
頬の流れる生温かい赤い液体。血だ。どうして流れているのか、ディオには分からなかったが、
直感が告げていた。目の前の男がやったのだと。
「お前はここで、僕が殺す!」
シトの体の震えが止まった。今のシトの体からはディオの魔力を押し返すだけの
魔力が放たれていたのだ。
「言うね〜〜。なら、やってみろ!!」
—ボカアァァァアン!!!—
シトとディオが互いに向き合い、動こうとした瞬間、アジトの扉が壊れた。
立ち上る煙の中から声が聞こえてきた。
「けほっ!けほっ!!ちょっとナツ!!やりすぎよ!!」
「あぁ?どうせなら派手な方がいいじゃねぇか」
「確かに。これから乗り込もうってのに、ちまちま扉開けて登場じゃあ、締まらねえもんな」
「ほぉら!!もう敵陣の中なんだから。気締めて!!」
聞き覚えのある声にシトはそちらを注視する。
「・・・・・誰だい?人のアジト壊すような奴らは?」
「誰だだぁ?そんなの、俺らしかいねぇじゃねえか」
煙が少しずつ晴れていき、露わになったその犯人たちが声を揃えて言った。
「「「フェアリーテイルだ!!!」」」