二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜9話更新 ( No.16 )
- 日時: 2011/05/03 11:26
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
10話〜桜と敦盛草〜
—ワイワイ!ガヤガヤ!!—
あれから数日。フェアリーテイルは何時もの風景が戻っていた。
シトはというと、皆と同じ一階のフロアにいた。
あれから、ギルドに皆に対してだけは大きな嫌悪感がなくなったので、
少しは人に慣れようとここにいるのだ。
「お〜〜〜い!シト!ちょっと聞きてぇことがあんだけどよ」
そう言ってシトに近づいてきたのはナツ・ドラグニル。
シトと同じ滅竜魔導士の使い手で火の竜・イグニールを探している。
乗り物が極端に弱い、ギルドきっての暴れん坊である。
「ザルチルーニがいなくなった日?」
ナツに聞かれた質問を繰り返すシト。
どうしてそのような事を聞いてきたのかは尋ねると、ナツはある人物を指差す。
「あそこに座ってんの、ガジルって言うんだけどよ。あいつも滅竜魔導士なんだよ」
「あい!」
と、そこで声を上げたのは何時もナツと一緒にいる青い猫のハッピー。
魚が大好きでよく喋る猫だ。
「ガジルはね、メタリカーナっていう鋼鉄の竜から鉄の滅竜魔法を教わったんだって。
凄いんだよ!鉄をバリバリ食べちゃうんだから!!」
「・・・・・それで?」
話が見えてこなくシトが促すと、ナツが口を開いた。
「んで、あいつのとこの竜も消えちまったんだと。
7年前の777年、7月7日にな」
「!!!」
「イグニールも同じ日に消えちまったんだ」
「・・・・ナツたちもそうなんだ」
シトの呟きにナツが顔を突き出した。
「おお!!やっぱりお前んところもそうか!!」
「同じ日に竜が3匹もいなくなるんて。何かあったのかな?」
「う〜〜〜〜ん!それが分かりゃあ苦労しねーんだけどな。
ま、取りあえず何か分かったら教えてくれよ。俺も教えてやるからさ」
じゃな!と、ナツは最後に手を振り自分のチームのいる場所まで戻って行った。
「さてと。シャーナはどこにいるんだろう?」
クエストを受けるにしてもまずはシャーナと合流しなければならない。
シトはシャーナを見つける為に立ちあがる。すると、
「きゃぁ!!」
丁度その時、人がシトの前を通ろうとしたのかシトとぶつかってしまった。
慌ててシトはその人の腕をとる。
「ととっ!ごめん。大丈夫だった?」
「う・・うん。大丈夫」
声と服装からしてその人は女の子だと分かった。取りあえずシトはその言葉を聞いて
女の子の手を離す。女の子は少し崩れた服装を直し顔を上げる。
見た目は完全に戦う女の子って感じではない。優し気な瞳に薄い唇は男性から見ると
守ってやりたくなるような感じがする。
「・・・・・・・??」
シトは女の子の顔をじっと見ながら動かない。それに困って女の子は手を顔に触れて尋ねた。
「・・・・・私の顔、何かついてる?」
「あ、いや。・・・・・ねぇ、君ってもしかして・・・・」
「ああ、いたいた。お〜〜〜い!!シトーー!!」
と、そこにシャーナがやってきた。
「ごめんごめん!ちょっと、マスターと話してたら遅くなっちゃった。
・・・・・あれ、サクラ?」
「久しぶり、シャーナ。・・・・シト?じゃあ、この人が」
サクラと呼ばれた女の子がシトを見て薄く笑った。
「・・・・・何?」
「ううん。何でもない」
サクラはそう楽しげに言うと、シャーナの方を向いた。
「シャーナ。マスターと話って何?」
「ああ、それね。ちょっと厄介なこと頼まれちゃってね」
「厄介なこと?」
シトの言葉にシャーナは頷き、疲れたような顔をして続けた。
「魔法開発局が新しい魔法の開発に失敗したらしくてね。
実験に使ったあたりに超高重力場が発生しちゃって近づけないんだって。それを止めるには
その重力場に入って中にあるアイテムを壊す必要があるみたいなの。それで・・・・」
「それで、重力の魔法を使えるシャーナが選ばれた」
サクラがシャーナの言葉を引き継ぎ言った。それにシャーナが頷く。
「そういうこと。準備出来てる?シト」
「え?それ、僕も言って大丈夫なの?」
「大丈夫!私の魔法でその重力場に対抗出来るから。
それにシトなら魔法で体を包めば、重力場を受け付けないでしょ?」
「私も同行していい?」
サクラの申し出にシャーナが首を傾げた。
「いいけど。どうして?」
「アツモリソウ」
「??」
サクラの意味不明な言葉にシトは首を傾げたが、シャーナは分かったかのように頷く。
「サクラは花が好きでよく花言葉を使うの。
因みにアツモリソウの花言葉は気まぐれ。大した意味はないってこと」
「そういうことか」
シトが理解したところでサクラはシトに近づいた。
「改めて自己紹介。私はサクラ。よろしく」
「あ、うん。よろしく」
「それじゃあ、行こうか!」