二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜13話更新 ( No.20 )
日時: 2011/09/09 22:10
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

14話〜新たな滅竜魔導士〜




シャーナの魔力は落ち着きを戻したが、まだシャーナの周りを
渦巻くように立ち上っている。

「ふん。死ぬほど後悔させて上げる・・・・・・・ですか。
それは私の台詞ですよ!!」

アキは数多のナイフを生み出し、それをシャーナに飛ばした。
シャーナはそれに対し、突っ立ったまま動かない。
だが、ナイフはシャーナに当たる前に弾かれた
それでもアキは止めない。しばらくそれが続いた後アキは不敵に笑い

「そこ!」

そう言って一本のナイフを飛ばした。それがシャーナの肩を掠める。
シャーナはそこから出る血を拭う。

「よく、当てられたね」

「舐めないでください。こんな重力異常の場での重力操作。
『ムラ』が出ない方が可笑しいですよ」

「ん、確かにそうだね。・・・・・だったら」

サクラが手を前にやる。

「悪いですが、これ以上余計なことはさせませんよ!」

アキはナイフを飛ばしたが、それはシャーナの手の直前でぐしゃっ!と潰れてしまった。
それを見たアキは、驚愕した。・・・・・目には見えない。
だが確実に、そこにこの辺りの高重力場が集まっているのを感じた。

「私の魔法はさ、生物には10倍、物質には100倍の重力の負荷が限界なんだけどさ。
単純な重力操作なら上限がないんだよ。
だからこうやって、このあたりの高重力を一点に集めることも可能なんだよね。
まあその分、魔力の消費は激しいけど」

シャーナはそう言って掌を狙いを定めるかのようにアキに向ける。

「ベクトル変換・重矢の閃光(ジー・アロー)!」

シャーナの手から撃たれる重力の矢。それがアキの体を貫通する。

「・・・・・!!」

アキはそのまま倒れ動けなくなる。それを確認してから、シャーナは疲れたように
息を吐き頭を垂らす。

「やっぱり、空間の重力をかき集めるのは疲れるな〜〜〜〜。
・・・・・・さてと」

シャーナはそう言うと陥没した、シトたちが飛び込んだ穴に目を向けた。

————————————————————

「何、これ・・・・・?」

シトは地面から出てきたものに目を向ける。
それは大きなムカデのような姿をしたモンスター。そのムカデがサクラを口で捉えたのだ。

「んっ!!」

—ギギャ!—

サクラは自分の周りに花びらを出現させた。それによりムカデが一瞬動きを鈍らせる。
サクラはその内に脱出を試みるが、それよりも早くムカデがサクラを真上に飛ばし、口を大きく開けた。
どうやら丸呑みにするつもりらしい。それを見て、シトは駆け出した。
間一髪、サクラがムカデの口の中に消える瞬間サクラを救出することに成功した。

「ふ〜〜〜。大丈夫?」

「うん。ありがとう」

サクラを降ろしてシトはムカデを見た。硬そうな外殻が嫌に目に引く。

「このムカデこの重力場でも平然と動いてるね」

「うん。それだけの筋力がこのムカデには備わってるってことなのかな。
そしてそれを支えてるのが・・・・・」

「あの鎧の様な殻・・・・・か」

「うん。だからあの鎧を剥がせばなんとかなるかも」

「分かった!」

シトがムカデに駆け出す。それに合わせるようにサクラも花びらを出し、
シトの脇を抜けていく。

「降舞・暁」

花びらがムカデの真上に上ると、そのまま真下に向かって落ちた。
ムカデがサクラの花びらで埋もれる。だが、ムカデはそれをすべて吹き飛ばす。
それを見て、シトは大きく息を吸った。

「ゼロ!」

ムカデは消滅の波動をまともに喰らったが、それでもピンピンとしている。

「そんな・・・・!!」

シトは目を丸くした。今までも防がれたことは何回もあるが、
それでもあれだけ無傷でいられるのは応える。

「ここの重力場の影響が強いのかもしれないけど、あの強固な殻も
シトの魔法を防ぐだけの力があるみたい」

サクラも困ったような顔で言った。
そのムカデはというと、シトたちの様子を暫く見た後、地中へと潜り込んだ。
暫くの沈黙。だが、すぐにシトたちの足元が大きく揺れたかと思うと、
ムカデが飛び出してきた。

「くっ!・・・・・リアン!!」

シトは両腕に魔力を纏い、腕を交差させムカデの攻撃する。
ムカデの体にはバッテンに煙が上がるが、殆ど無傷であった。

「くそっ!」

「シト!もう一度ブレスやって!!」

「どうするの!?」

「同時に攻撃する!」

それにシトは頷き大きく息を吸い構えた。だがそこで、溜めた息を吐きそうになってしまった。
なんとサクラも同じようなポーズをしていたのだ。だがシトは気を取り直し、ムカデを見据えた。

「ゼロ!!」
「乱舞・霞!!」

—ブオオオオオオン!!—

二つのブレスが混ざり合う。性質上反発しあうと思ったが、
二つは上手く絡み合い、威力が倍増してムカデに直撃した。

「上手くいったね、シト。・・・・・シト?」

「・・・・・・」

上手く合わさったブレスに笑顔を浮かべるサクラ。だが、そのサクラがシトの方に顔を向けると、
シトは目を丸くした状態でサクラをじっと見ていた。

「やっぱり・・・・・・そうなんだ」

「何の事?」

シトの呟きにサクラは首を傾げる。
シトの思っていたこと。それは初めて会ったときから感じていた妙な違和感。
それが今の攻撃で感じた感覚ではっきりとした。

「君も・・・・・滅竜魔導士なんだ」