二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜14話更新 ( No.21 )
日時: 2011/10/31 22:32
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

15話〜花の滅竜魔導士〜

「私が・・・・・滅竜魔導士?」

「・・・・・気付いてなかったの?」

シトの発言に目を丸くするサクラ。その反応にシトも驚きの表情を見せる。
サクラがどういった経緯で滅竜魔法を覚えたにしても、
それを知らずに使うことなどはないはずだ。
どんな魔導士でも、自分の扱う魔法ぐらいは熟知しているはずなのだ。

「・・・・・サクラがその魔法を教えてもらったのって、
馬車で話してた人じゃない親ってのだよね?」

「うん」

「それってドラゴンでしょ?だったら・・・・」

「違うよ」

「え・・・・・」

てっきりドラゴンだと思っていたシトは、サクラの言葉に言葉が詰まる。

「私を育ててくれたのは・・・・・」

—ギシャァァァァァアアアァァァ!!!—

サクラが言おうとした瞬間、今まで倒れていたムカデが起き上がった。
所々殻にヒビが入り、崩れそうになっているがそれでも尚、向かってくる。

「こいつ、まだ・・・・・!!」

「竜胆」

「え?・・・・・ええっと、花言葉は?」

一瞬、サクラが意味不明な言葉を発したと思ったシトだったが、
サクラは花言葉を使うと言うのを思い出し聞いてみた。

「勝利を確信する」

サクラの笑みを含んだ言葉に、シトも微笑する。
それを見て、サクラは手を前に構えて、集中し始めた。

「連舞・朝霧!!」

花びらがムカデを囲むように舞い始めると、個所個所で一つの団子状に固まり始め、
幾多の花びらの弾丸がムカデを襲う。

「ダスト!!」

更に追い打ちを掛けるように、シトが連打を浴びせる。

—ギ・・・・ギ・・シャ・・・—

ムカデの動きが止まり、今にも倒れそうだ。それを見て二人を顔を合わせると、頷いた。
そして互いに息を大きく吸い込んだ。

「ゼロ!!」
「乱舞・霞!!」

再び二つのブレスが混ざり合い、一直線にムカデに向かって行った。
直撃を受けたムカデは木端微塵となり、攻撃の余波で宙に浮いていた鍵も砕け散った。
それにより、辺りの重力場が落ち着きを取り戻す。

「ふ〜〜〜」

ようやく高重力場から解放され、魔力を張っている必要が無くなったシトは、
力を抜くように大きく伸びをした。

「シト」

名前を呼ばれ、シトが振り向くとサクラが手を上に構えてこっちを微笑んでいた。
その意図を理解したシトも手を上にやり、ハイタッチをする。

「これで依頼完了だね」

「うん。・・・・・ところで、さっき言ってたサクラの親って?」

先ほど聞きそびれてしまったことをサクラに問うシト。

「ああ、うん。私の親ってのは・・・・・・妖精・・・・だと思うの」

「え?・・・・・妖精?」

少し答えずらそうに口を開いたサクラから聞いた予想だにしない言葉に聞き返すシト。

「そう、妖精。名前はノージュ」

「驚いた。妖精って、本当に実在してたんだ」

目を丸くするシト。それもそのはずだ。シトたちが入っているギルド・フェアリーテイルの名前には
妖精には尻尾があるのか、本当に存在するのかも分からない。
だからこそ永遠の謎、永遠の冒険。そういう意味が込められている。
その真意を知る者がこのギルドの中から現れたのだ。

「・・・・・でも何で妖精が滅竜魔法を・・・・・・?
っていうか、だと思うって?」

「私は育ててくれたノージュの姿に疑問を持ったことなんて無かったから聞かなかったんだ。
けど、ノージュが消えて一人彷徨ってたらこのギルドを見つけたんだけど。
そのマークがノージュそっくりだったの。だから、もしかしたらノージュは妖精だったんじゃないかって」

そう言ってサクラは自分の右腕に押されたフェアリーテイルのマークに触れる。

「消えてって・・・・まさか!!」

「ううん。7月7日とは関係ないよ」

「あ・・・そう・・・・」

一瞬舞い上がってしまった自分に反省するシト。

「お〜〜〜〜い!!二人とも〜〜〜〜」

と、そこで上から声がした。それに二人が振り向くと、シャーナが手を振っている。
二人はそれを見て穴から出ると、そこにいたシャーナの状態に目を丸くする。

「シャーナ!それ・・・・!!」

「ああ・・・・うん。ちょっとね」

「そっちにも、ムカデが来たの?」

「ムカデ?・・・・・・うん。ちょっとドジっちゃってね」

無理に笑顔を作って見せるシャーナ。が、直ぐに限界が来たのか、ふらつく。
それを見てシトが駆け寄り、倒れそうになったシャーナの手を取った。すると・・・・・

「「「え?」」」

その場にいた3人が同じ声を漏らした。その原因というのは

「傷が治った?」

そう。シトがシャーナの手を取った瞬間、シャーナの傷が消えたのだ。

「今やったの・・・・シト?」

「え?・・・・・僕は何もしてないけど」

目の前で起きた現象に戸惑いを隠せない3人。それでも、シャーナのダメージまでは消えていないようで、
シャーナはそのまま気を失ってしまった。

「シャーナ!!」

「大丈夫。眠っただけ。取りあえず、急いでフェアリーテイルに戻ろう」