二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜18話更新 ( No.30 )
- 日時: 2012/05/08 00:47
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
19話〜舞い散る花と幻影の剣〜
—ヒュン!ヒュゥウン!!—
「ふふっ。刀身が見えないんじゃ、間合いが取りづらいのかしら・・・ね!!」
—ズシュゥ!—
「っ!!」
肩に浅く斬撃が入り、服に血が滲む。
アミの言う通り間合いが上手く取れず、剣の間合いに入ってしまったのだ。
「まだまだ行くわよ!」
その後もサクラは防戦一方の戦いが繰り広げられた。
それを観戦していたマスターが呟いた。
「何なんじゃ、あの剣は?」
「ある特別な鉱石から造られた魔法剣だ。その鉱石で打った剣はその者に応じた
能力を得る。故に心法剣と我らは名づけた」
リュウマの言葉にマスターはリュウマの腰にも差さっている剣を見つめる。
剣からは邪悪な気配が漂っていた。
「それほど禍々しい魔力を放つ剣。貴様らに何も影響が無いわけではなかろう」
「その通り。半端者持てば忽ちこの闇に心を蝕まれる。だが力を手にいてると言うことは
何かを代償にしなければならないと言うこと。それが己の心力と言うなれば、
我らは決して堕ちはしない。我らが願いの為にな」
「・・・・・・お主らがそうまでして叶えたい願いとは何じゃ?」
「・・・・・・・」
マスターの言葉にリュウマは答えはせず、じっと勝負を見つめていた。
だがその目はその遥か先まで見据えていた。まるでこの勝負は興味がないかのように。
————————————————————
「ほらほらどうしたの!防戦一方じゃない!!もっとお姉さんを楽しませてよ」
「これからだよ。幻舞・琴平」
今まで受けてただけだったサクラがようやく行動を起こした。
大量の花びらが2人を囲うように舞い、一定の球状の中で吹き乱れる。
「あら、何のつもりかしら?私にその花びらは何にも役には立たないわよ。
自棄でも起こしたの?」
「それはあなたの目で確かめればいいよ」
「そう。それは楽しみね!!」
そう言って、アミはサクラの方へと走り出した。だが、走り出したアミの目の前に
花びらが舞い、一瞬サクラの姿が花びらと重なったのと同時に、サクラの姿がその場から消えてしまった。
思わず立ち止り、悔しそうに笑みを浮かべるアミ。
「ふふっ。なるほど。この花びらは目眩ましってわけね」
暫くじっと構えサクラの姿を探すアミ。すると視界の端の花びらが僅かに乱れた。
そこ目掛けて剣を振るう。だが、サクラは剣の切っ先ギリギリをかわすと、
先の腹に蹴りを入れた。
「ぐぅ!!」
吹き飛ばされ、花びらの檻から飛び出すアミ。すると花びらは霧散し、中からサクラが出てきた。
「ど・・どうして刀の正確な長さを・・・・」
「あの花びら、目眩ましの為だけじゃなかったんだよ。
花びらの流れで刀の位置を正確に理解したんだよ」
そう言うとサクラは再び、花びらで二人を包み出す。
「ふふっ。なるほどね」
「・・・・・随分余裕そうだね」
サクラはアミの態度を不思議に思った。見えない刀を攻略されたというのに、
むしろ先ほどよりも全体的にリラックスしているようにも見える。
「まあね。久しぶりに絶頂を感じられそうなんだもの。
・・・・・見せてあげるわ。私の心法刀の真の姿」
「!!」
サクラは突然現れた自分を囲う無数の刃を見渡した。
それが一辺にサクラに向かって行った。僅かな隙間を抜けてかわすサクラ。
「背中が隙だらけよ、お嬢ちゃん」
—ズバァ!!!!—
「サクラ!!」
斬撃音と共にサクラが花びらの中から飛び出してくる。
その背中からは決して少なくは無い量の血が流れ出る。
「よく反応出来たわね。じゃあ、もう一度行くわよ」
再び、サクラの周りに刃が現れる。それをサクラは冷静に見つめる。
「幻影・・・・・・浮いてる刃のほとんどは幻で本物は一本、ってところかな?」
「良い洞察力ね、その通りよ。でも幻影もただの幻と思わない方がいいわよ。
幻の刃も本物と同等の威圧を放ってるわ。どれが本物か見抜けない以上、
あなたにはここにあるのは全て本物の刃と思わないと怪我するわよ!!」
再び、刃がサクラを襲う。アミの言うとおりどれが本物か分からなければ、
全部避けるしかない。
—ヒュン!ヒュンヒュン!!ヒュゥン!ズバッ!—
「うっ!」
しかし、いくらサクラでもこれほどの量の刃を避けきるのは無理なようだ。
膝を着くサクラにアミがゆっくりと近づいて行った。
「そろそろ、終わりかしらね」
「サクラーーーーー!!何やってんだしっかりしろ!!」
「ナツ!?」
止めを刺されそうになった時、観覧していたナツが騒ぎ出した。
「わかんねぇなら全部叩きおとしゃあいい話じゃねぇか!!」
「!!」
「馬鹿かてめぇは!!そんなの相手に隙を与えるだけじゃねぇか!
少しは考えろ、単細胞馬鹿!!」
それに空かさずグレイが突っ込んだ
「んだとコラぁ!このパンツマン!!」
「てめっ!・・・・上等だぁ!!」
何故かフェアリーテイル同士で場外乱闘が始まってしまった。
「何なの?あの子たち・・・・・」
それを呆れて見るアミ。それにサクラが答えた。
「私の大好きな、フェアリーテイルの仲間たちだよ」
アミが余所見している内にその場から離れる。そして暴れるナツたちを見て微笑んだ。
「たまには派手にやるのもいいかな」
サクラはそう呟くと、魔力を一気に解放させた。
「滅竜奥義・・・・・」