二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 心霊探偵 八雲 〜つながる絆 ( No.61 )
日時: 2011/03/07 18:57
名前: 凪 (ID: M8vlMd6.)


〜11〜

真黒なマンション。

あたりでは、パトカーのサイレンが響いていた。そんなにたくさんある

わけではなく2、3台くらい。その中には、畠 秀吉もいた。このパトカ

ーは、ついさっき石井が携帯電話で呼んだもの。

「わしゃ、こんなの興味ないね。やっぱ生だよ。生」

白衣のポケットに手を突っ込み、畠は八雲達がいるエレべーターの前に

立って言う。その周りには、カメラのフラッシュが目立った。

エレべーターの中に死体。それも複数。

「気持ち悪ぅ」

石井は、おえっと吐く真似をしながら言った。

「お前は刑事だろ!そろそろ慣れろっ!それに—」

後藤は石井に言うと辺りを見回す。

「眩しいっての!」

確かに。カメラのフラッシュがキツイ。

「あなたが離れたらいいでしょう」

八雲は、はぁ…、とため息をついてから後藤を見た。

「おうっ、そうだな…」

後藤は4、5歩後ろに下がり、カメラのフラッシュから逃れた。

「ひっひっひっひ…」

畠の笑う声が後藤に聞こえた。

「なんなんだよっ」

後藤は畠をにらみながら言った。どいつもこいつも俺をバカにしやがっ

て。この妖怪爺。

「おまえさんも素直になったなぁ。いままでじゃ、きにいらないやつは

徹底的にけり飛ばしてきたのに」

「からかってんのか!」

「わしは正直に言っているだけじゃよ」

畠は言い終わると、また笑った。しわがれた声で。

「んだとっ!」

後藤は叫んだ。畠にとびかかろうとしている。

「うるさいです、後藤さん。さっさと済ませましょう」

その空気を破るように、八雲は口を開いた。

後藤は仕方なくとびかかるのを止める。

晴香は、その様子を見てなんだか笑ってしまった。

すると、後藤の睨んだ眼が晴香に向けられた。

—クソっ!!絶対後で妖怪爺を宙づりにして火を点けてやる!

後藤は、そう心に誓った。