二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 心霊探偵 八雲 〜つながる絆 ( No.80 )
日時: 2011/03/16 20:58
名前: 凪 (ID: M8vlMd6.)

〜14〜

一台の車が高速道路を走る。今日は、まだ平日で少ない方だった。

「あの姉ちゃんから聞いた話だけじゃ、分からないか…」

助手席に座る男—後藤がボソ、と呟いた。収穫なし。あったのは皮膚が

剥がれた死体。それも複数。

「八雲も分からないとなると—」

「誰がそんなこと言ったんですか」

何処からか声がした。この声の主は八雲だ。後藤は後部座席をバックミ

ラーごしに八雲を見た。

—うおっ!

腕組みをしたままの八雲が鋭い目でこっちを睨んでいる。そんなに睨ま

なくてもいいじゃないか。

「お、お前何か分かったのか?」

「何が」

八雲はスラッと答える。

「何が、って—ほら、例えばその、亡くなった人の名前とか—」

「後藤さんは本当にバカな人ですね」

—はっ?この野郎。それは—

「どういう意味だ?」

後藤は首を180度回転させ、八雲を睨む。が、八雲は、まったく気にして

ない様子。それどころか、外の景色を眺めている。八雲は、やがて口を

開いた。

「そのままの意味で取っていただければ結構です。そんなこと、僕

がいちいち言わなくても後に検査の方で分かることでしょう」

「まぁ…そうだな」

後藤は首を元に戻した。確かに、八雲の言う通りだ。妖怪爺に聞けばい

いこと。しまった。してやられた。

「では、何が分かったというのですか?」

後藤と八雲のやり取りを聞いていた運転手—石井が八雲に尋ねた。

「そうだぞ、八雲。教えろ」

と、後藤が付け足す。しかし、八雲は何か気に入らなかったのか、黙り

込んでしまった。

—ああっ!クソッ!分かったよ!

「…教えてください」

後藤は悔しそうに言いなおした。すると八雲は満足したのか、二ヤリ、と笑っ

て言った。

「よくできました、後藤さん」

拍手しながら。

—うわあああああアアっっ!イラつく!なんで俺はこいつの言う通りに

しているのか。

後藤は、そんな気持ちを抑えていた。



              *
次回をお楽しみに♪♪