二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】心と体のアンバランス2   東京編完結☆ ( No.649 )
日時: 2011/03/28 21:31
名前: ユキナ ◆jSzUFJdXHo (ID: FDRArTRL)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

最近ネタが尽きたユキナです☆←
はぁ・・・・・・・・・・



*短編*

   
         
         〜願い無き哀れな神〜





    ————〝石を積めば、願いが叶うんだ————








その石の塔は、高く高く聳え立っていた。


その塔はもはや、神話の場所だった。







『——君は何を願って石を積んだの?——』






そして、神々の声が聞こえ始めた。


『——おれは、妹に生き返ってほしかったんだ。——』

『——ぼくは、みんなと一緒に逝きたかったんだ。——』

『——わたしは、彼と一緒になりたかったの。——』


神々はきゃっきゃと笑いあい、冗談を言い合いながら子供のように夢を語った。





『——君は?——』

「僕?」

『——そう、君は何を願ったんだい?——』



そして言葉が、最後の一人に向けられた。



「・・・・・・・」


『——どうしたの?君の願いを聞かせてよ。“最初に石を積んだ”君の願いを。——』

『——そうだよ、聞かせてよ——』

神々がはやし立てる。

『——聞かせてよ、聞かせてよ——』

『——僕らは君を見て始めたんだ——』

『——そうさ、何度もくじけそうになったけど、その度にくじけない君を見て勇気をもらったんだ。——』

『——その君の願いを、聞かせてよ。さぞや壮大でばかばかしい、夢なのだろうね——』


「僕は・・・・・・・」


少年は皆に囲まれて、しかしまったく気にせず石を積んでいる。








そして少年は答えた。




「僕はなにも、願っていないよ。」



神々が沈黙する。

何千年も、何万年も、沈黙する。



『——なんだって?——』


「僕はただ、なんとなく、石を積んだだけなんだ。別に、なにか願いがあったわけじゃないし、なにか目的があったわけでもない。ただ、自分が消滅するまでの間、石を積もうと、きめたんだ。」


——ざわざわ。ぞわぞわ。

神々がざわめき、やがて皆を代表するように一人が聞いた。


『——どうしてそんな、——』

「他にやることが、なかったからね」

『——わたしたちは勝手に、君の姿に夢を託して、勝手に勇気付けられていた、だけなのか?——』

「さあ・・・・・・ごめん、よくわからないよ」

『——なんということだ——』

神々がどよめく。


「・・・・・怒ったかい?」


『——いいや——』

『——そんな程度の低い奴、ここにはいないよ——』

『——そんな奴、この最先端にはいやしない・・・——』


どよめきがやんだ。


『——ただ、君が哀れだ——』


「哀れ?」


しくしくとすすり泣きの声がする。

泣き声は暴風となって塔を吹き、涙は洪水となって塔をぬらした。


『——僕たちの石積みは、もう終わる。ああ、ほら————・・・・』


『——どんなに無理難題どろうと、この塔にいればいつか必ず叶う————・・・・』


『——だけど、君には夢がない。そもそも叶える、願いがない————・・・・』


『——さすがの塔も、願い無き者の願いを、叶える事など出来はしない————・・・・』


『——さすれば、君の石積みは永遠に終わらず————・・・・』


『——しかし、諦めるにはもはや地上は遠く————・・・・』



神々は次々と消えていく。

それぞれの神々の塔には、花がたくさん咲いていた。


少年の塔を花びらが包む。

幾千幾万の花吹雪が。

塔の主に降りしきる。




しかし彼の塔に花は無く、



『——せめて共にと願っても、この身を焦がす夢から我ら、逃れられず————・・・・』


『——“あ な た は た っ た 一 人 に な る”————・・・・』




「・・・・・」

しかしやはり、そんなことも、彼には関わりなく。

少年はこちりと、石を積むのみ。



真っ黒な手で。

願い無き心で。

花びらの舞う、塔の上で。



たったひとり。

















**********************神様のない日曜日より*************

うーん・・・・少年ってのは多分アフロディですかね←