二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第1話 ( No.7 )
日時: 2012/03/07 21:20
名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: Ti.DGgQd)

 立ち上がって見てみると、10歳にも満たないだろう小さな子供がポケモンバトルをしていた。もうそんな時間だということだ。オーキドの家に行ってみよう。
 彼女は走り出して、オーキドの家の前まで来ると、チャイムを押した。ピンポーン、という音が鳴り、しばらくすると内側から扉が開けられる。

「何じゃ? 何か用か?」
「えっと、トレーナーになりたいので、ポケモンを貰いたいんですけど……」

 オーキドは少し怪訝な顔をした。

「今日は誰も連絡が入ってなかったはずじゃが……」
「え、本当ですか?」

 そ、そりゃそうだよなあ。と心の中でつぶやく。子供が勝手に旅に出ていいわけが無いか。
 しかし、親の話をされては困る。何しろ(この世界には)いないのだから。
 それとも、オーキドになら本当の事を話してみようか? と彼女は考えてみた。信じてくれるか分からないが、もしかしたら前例を知っているかもしれないし、レッドやグリーンに会わせてくれるかも知れない。
 ……いや。そうしたら、気ままにこの世界を旅出来ない可能性が高い。出来るところまで嘘を吐き通してみようじゃないか。

「そ、そういえば、こんな石知りません?」

 結局そんな答えに辿り着き、何か話題をそらせるものは、と考えて思い浮かんだのがここに来た時持っていた石のかけらだった。話の変え方はかなりあからさまだが、この石が何かわかれば、もしかしたらここに来てしまった原因が少しでも分かるかもしれない。
 そんな淡い期待をしながら、ポケットの中から白い石の欠片を出した。

「これは……」

 オーキドは彼女の手から石を手に取ると、それを慎重に眺めた。

「これ、どこにあったんじゃ?」
 気付いたら手に持ってた。
「ここに来る途中に落ちてました」

 しれっと嘘をつく。するとオーキドがその石をこちらに差し出したので、それを受け取った。

「トレーナーカードを作ってやる。お主、名前は?」
「えっ? ……うーん。何がいいと思います?」