二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第5話 ( No.40 )
- 日時: 2012/03/18 00:55
- 名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: kphB4geJ)
2人でランダムに交代でバトルをしていったため、思ったほどヒトカゲは傷つかなかった。しかし、それにしても、それにしても、長い。ヒトカゲもバトルというより歩くのに疲れたみたいだ。それで「モンスターボールに入るか?」と訊いてみたのだが、ヒトカゲは首を横に振った。
すれ違うトレーナーが向こうから勝負を仕掛けてくるようになった頃、上へ問と続く階段が見えてきた。時計を確認してみると、この洞窟に入ってからゆうに3時間は経過していた。外へ出てタウンマップを広げ、移動した距離を確認して驚く。この距離をバトルしつつ歩いたのなら3時間でも早い気がした。
カントーに着いたのが昼下がりだったので、辺りは暗くなり始めている。
「今日はどこに泊まろうか。トキワの森をぬけるのは時間がかかりそうだから、野宿か、ニビシティかだな」
「ニビシティってすぐそこでしょ? ポケモンセンターに泊まろうよ」
「ポケモンセンターに泊まれるのか?」
「うん、トレーナーカードがあれば無料だよ」
洞窟の中の明かりといい、この世界のトレーナーのための整備にはつくづく感心させられる。
レイアたちはニビシティへ行き、ポケモンセンターでポケモンを回復させた。それからポケモンセンターのお姉さんに宿泊の旨を伝えると、そのための部屋があるそうで、案内してくれた。部屋の中心に机と椅子があり、その周りには二段ベッドがいくつもある。
「11時になったら消灯だから、それまでに食事や入浴を済ませてね」
ポケモンセンターのお姉さんが言った。風呂や食堂まであるらしい。
部屋のベッドの中のいくつかには、荷物が置かれていた。他にもトレーナーがいるのだろう。
今日はずいぶん歩いて疲れたので食堂に行くと、5人ほどののトレーナーが話しながら食事をしていた。定食(さすがに有料であった)を頼んで、そのトレーナーたちのところへ行った。
「ここ、いい?」
ルイが言う。
「勿論」
一番近くに座っていた少年が言って、レイアとルイは向かい合って席に着いた。
座っていたトレーナーの内訳は、レイアと同じ年頃の少年が3人と少し年上らしい男女。おそらく2グループだろう。今日あった出来事なんかを他のトレーナーと話すのは新鮮で、何より楽しかった。
夕食の後は、風呂に入る。ポケモンセンターでは洗濯もでき、夜の内に干すらしい。まだ無事の服を着て寝ることにして、ずぶ濡れになった服はすべて洗う。風呂は立派と呼べるものではなかったが、歩き疲れた体に温かさがしみた。
部屋に帰ると、それぞれのグループで明日の予定なんかについて話している。ルイの話に耳を傾けながら、レイアは日記を書くことにした。朝目が覚めてから、風呂から上がるまで。
——本当に散々な日だったな。
改めて思う。気づけば突然知らない場所に来ていて、「ぽけもん」なんて生物がいて、生意気なポケモンのせいで2回も全身水浸しになって。……これから、こんな毎日が続くのだろうか。母親も、父親も、兄も、慣れた友達もいない、そんな日が。
照明が消えて毛布に潜ると、不安と寂しさが襲ってきた。涙がこぼれそうになるのをこらえていると、疲れていたからか、すぐに眠ることができた。
朝、目が覚めると、窓の外は朝の光が差し始めていた。ポケナビで時刻を確認する。大体5時半。いつもと同じくらいだ。学校へ行くための準備をしなくていい、という大きな違いはあるが。
顔を洗ってロビーへ行くと、昨日とは違うお姉さんがいた。夜勤の方だろうか。
「あら、早いのね。起床は6時よ。それまで食堂も開いていないわ」
「じゃあそれまで、ちょっと散歩してきます」
朝の静まり返った空気が好きだ。薄暗くて少し肌寒い町を一通り歩いていると、周りと明らかに違う雰囲気の建物が目に入った。美術館や博物館といった外見だ。表札を見ると、「ニビ科学博物館」と書かれている。そういえばこんなものあったっけ。カントー地方の記憶はあまり詳しく残っていない。
博物館の近くには、ニビジムがあった。今ヒトカゲで挑戦しても、相手は岩タイプを主に使ってくるし、負けるだろうな。道に迷わないよう、来た道をなぞって帰った。
変える頃にはちょうど6時で、ポケセンのお姉さんに皆起こされている時だった。皆で朝食をとって、各々出発する。ニビジムに挑戦する組、トキワの森へ向かう組。
レイア達は、「なんか面白そう」という理由でトキワの森へ行くことにした。
中はハクタイの森よりもさらに暗い。そして頭の中で流れるBGMのせいか、ポケモン屋敷なんてものもないのに、不気味だった。ピカチュウを探して歩き回ったなあ、ここ。
虫ポケモンや虫捕り少年とバトルをしながら進む。ヒトカゲが大活躍だ。ゲームであればすぐに抜けられるが、やはり上から眺めているのと実際にその中にいるのとでは随分と違うもので、道筋が全く分からない。とりあえず方角だけを頼りに進む。
「あれ、家があるよ」
ルイがそう言って前方を指差した。