二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.11 )
- 日時: 2011/03/14 21:21
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)
思い出は忘れたと思った頃に出てくる。
#03 所詮私は負け犬
バイトをして、好きな物食べて、運動して、買い物して。失恋した事なんてもう受け入れてしまった気がする。そこまで好きじゃなかったのかもしれないと思う事もある位、私の生活は充実していた。
だが、まあ思い出は唐突にやってくるものだ。
君と長い髪の美女さんが私が働いている店にやって来た。幸いな事に、君は私のカウンターに来なかったから何とか顔を合わせず切り抜けた。のだが。
なぜだか、美女さんと一緒にいる君の事を何回も考えてしまう。
私と居る時は、君はあんな優しく笑わなかった。君があんなに照れる姿を、私は見た事がなかった。
それが少し、ショックだった。私が見た事のない笑みを、今他の人が見ていると思うと、少し嫉妬した。ああもう嫌だな私。
それから私は適当に仕事を終え、家に帰って君の事を考えた。何度思い出しても、浮かんでくるのは照れる君の姿だった。
彼女と比べて、私はどこがいけないんだろうか。そりゃ、顔は美人でもなければ巨乳ってわけでもなかった。
でも、髪は結構長い方だった。あの美人さんと比べても、互角じゃないかと言う程。何の勝負なんだと思うかもしれないけれど。
多分、彼女には私とは違う何かがあったんだ。セクシーさと言い、大人っぽさと言い。きっと、私には恋愛感情を持ってない様だ。強いて言うなら女友達。の中の親友。
つまり私とあの美人さんを比べると、私は負け犬な訳だ。何もかも敵わない。だって君は私に恋愛感情を抱いてないんだから。勝負は簡単。
それが無性に苛立って、私は「少し散歩してくる」とお母さんに言って外を出た。適当に近所を散歩して、少し気を晴らした。
おばさんと喋ったり、公園で子供と遊んでいる内にさっき悩んでいた事なんて全部忘れた。何を悩んでいたんだ、私は。
——そう開き直って帰る途中、嫌な影が見えた。それは、私を走って追いかける人影だった。