二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.12 )
- 日時: 2011/03/17 22:58
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: j553wc0m)
まあ、とりあえずはっぴーなのかな?
#04 澄んだ空 済んだ涙
誰だろ、あれ。正体を確認したい所だが生憎私は目が悪いのだ。だから立ち止まっても意味がないのだが、好奇心と言うか条件反射で後ろの人を見つめる。
私を追いかけている人から、私の名前を呼ぶ、聞き慣れた爽やかイケメンの声が聞こえてきた。
余計に気になってずっとその人を見つめていると、正体確認。私の初恋の人だった。私、ショック。何なんですか今ちょっと会いたくないんだよね。
「……久しぶり、好きな人できたの? プレゼントの相談ッスか?」
「いや、違う。俺、さっき振られたの」
自分の脳内時計で言うと三時くらいかな。
私が皮肉っぽく笑うと、彼は綺麗に澄んだ空を背にして微笑んだ。悲しそうな顔をして。
だがまあ悲しい顔しても振られても私には関係ないってね。だって私、君よりもっと前に君に振られてるもの。お互い様だぜ!
「うん、で?」
「だから、俺ショックなんだよ。慰めて?」
可愛い動作で甘えてくるが可愛くないから残念。むしろ気色悪い。
「何がどうショックなのか改めて訊いてみるよ」
「お前には目に溜まってる涙が見えないのか!」
私の言動に、ムキになった彼は目を見せる。そんな彼に、少し笑ってしまった。「どうしたんだ?」と、彼が訊いて来た。
「いやあ、失恋したのに元気だねーと思って」
「そりゃあ考えてもしょうもないしなー。だから自分に奢ろうと思って。あ、丁度良いから人助けと思って奢らない?」
「奢らない」
冷たい態度で断って、彼は「くししし」と笑う。相変わらず変わらないと言うか変な笑い方と言うか、何だか溜息が出てくる。
「ま、失恋祝いになら割り勘でも良いよ」
「どんな祝いだよ。しかも割り勘って」
彼は馬鹿にした様に笑う。いいだろ別に。お前も私も失恋しとるんじゃあぼけぇ。
「私も失恋したのー。告白する前に悲しい真実を知ったよ」
「ふぅん、お互い様だな。じゃ、失恋祝いと相手への恋を卒業するか」
「いいねー! じゃあどっか喫茶店行こうよ」
——今日は、沢山好きな物食べて私に甘えてやる! そして恋愛感情を持ってた頃の私とおさらばだ!
「失恋にかんぱーい!」
迷惑にならない程度で声を出して彼とオレンジジュースが入ったガラス製のコップをこつんとぶつけた。
end / Chip Tears