二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.162 )
- 日時: 2011/07/25 15:31
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
番外編 # そうだ、祭り行こう。
「そうだ、祭りに行こう」
ソファに寝転び、食べ終わったアイスキャンディの棒を咥えたままのミクはふと思い出した様に言い放った。
同じくソファに寝転んでゲームを楽しんでいたレンは、怪訝な表情をミクに向けた。
「おいおい……本気か?」
「アタシを馬鹿にすんなよクズ野郎」
「クズじゃねーよネギ野郎」
「ネギを馬鹿にすんなよバナナ野郎」
「何の話ー?」
そう罵声を交し合う二人の間に、入ってきたのはうちわをぱたぱたとさせる——そう、レンの双子の姉、リンだった。
「祭り行きたいって話」
「あー、そう言えば私も友達と行かないといけないんだった」
「はいはい、じゃあアタシ行くぜリンちゃん!」
興奮しすぎて挙手までしているミクに、ちょっと引いた様子のリンだった。レンはまたゲームをし始めて、別の意味で興奮気味である。
「私は友達と行かないといけないからさー……あ、そうだ」
「なんだいなんだい! お小遣いでもくれるのかい!」
祭りに行けるという楽しみで年下から強請ると言う行為をするミク。
「違うよー」と、手を振りながら苦笑いを浮かべるリンは、そのまま続けた。
「レンと一緒に行ったらいいんじゃない?」
「のうっ!? なんでクソバナナと一緒に祭り行くんだよ畜生! チョコバナナ目の前で食ってやる!」
即答だった。即答の割には長い返答だが、そんな事はどうでも良かった。レンはと言うと、あろうことか大切な筈のゲームを手から滑り落としていた。
「……おいおい本気で言ってるのかそれ」
「だってさぁ、ミク姉方向音痴じゃーん。一人で言ったら帰って来るかどうかすらも分かんないんだよー?」
「ハハハハハ! 一人で行ってホームレスになって餓死しちまえ!」
リンの心配の言葉はレンに響く筈も無く逆に暴言となって跳ね返って来た。ミクは可愛い顔をしかめて反撃しようとしたが、リンが先に手を動かした。ごつ、とレンを殴る鈍い音が聞こえて、リンがレンを叱る。
「何か言った? レン……」
本気で怒っているリンは、あまり見られない故に、案外怖い。現在怒られた経験があるミク曰く「ホラー映画見た気がする」だった。
レンは焦って、「なんでもない」と繰り返しながらリンの向こうに居るミクに目を向けると、ミクはレンを見て笑っていたのだった。
リンは元の可愛らしい笑顔に戻ってレンにこう言い放った。
「じゃあミク姉と一緒に祭り行ってあげてねー」
「は!?」
今度ばかりは笑っていたミクも驚き、ありえないと言いたげだった。
リンは自分の部屋に走って向かい、反論の余地も無かった。
「アタシ祭り行きたいけど……どうすっか」
「あー……チョコバナナ奢れよ。五本」