二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【クイズ】ボカロ曲を好き勝手に【企画】 ( No.288 )
- 日時: 2011/12/03 19:36
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
恥ずかしいから、言えねーんだよ。
#01 おひめさま、かわいいね
お前が、この広い世界の中で一番のお姫様。そういう扱い、もう既に心得ている……だろ、俺。なのに、あーあ。なっさけねえ。
まず俺のお姫様は、色々とわがままだ。なんか色々決まりがあるみたいで、それを守らなかったらぷう、と頬が膨れる。そんなところも可愛いとは思うんだけども、怒ったら色々大変なのでいつも面倒な決まりを俺は守っている。
例えばその一、いつもと違う髪型に気付く事。俺は両目とも視力はいいから……ていうか視力は関係ない。髪型をいつも変えてる事は気付けてる……はず。アイツ、なんか微妙にカールとかしたりするから、気付きにくいんだよなあ。女の子って分からないもんだ。
その二、ちゃんと靴まで見るのは……ああ、今日も忘れてた。ごめんよ。まあ本人は単純だから今はにこにこるんるんとスキップしている。俺はリンの鞄を持っている。色々と尽くしすぎだろ、俺。姉弟なのに。
その三、お前のわがままには二つ返事で付き合ってあげますよ。もう爽やかオーラ出しまくってあげますよ。嫌とか思ってもお姫様優先させますよ。
リン中心のルールはこれだけではなく、まあその他えとせとらえとせとらって感じだ。
「ねえレン、お姫様抱っこしてよー」
「はあっ!? ばか、お前、そんな事!」
「ルールそのさーん、私の言う事はー?」
「とても気持ちの良い返事をする事……だけどさ!」
「だけど? どうしたのー?」
くっそ、にやけているぞ。確実に俺の事を面白がっている!
だってお姫様抱っことか、持てる保障は——いやまあ無いとは言わないけどさ! 仮にも男子だからな! HAHAHA! だなんて現実逃避してみる。
なんで俺が通学路でリンをお姫様抱っこしないといけないんだよ。友達とかに見られたら確実に茶化されるだろ! 明日から俺の名称がシスコンとかになったら俺学校行きたくねえ!
「何、持てないの?」
「持てるよ! 余裕余裕!」
「じゃあやってよー」
「ぐッ……じゃあ分かったよ、抱っこは家でやるからさ。今は手をとるだけで勘弁してくれ」
そう言って、顔を背けながらリンの手を握る。きっと今は顔が赤いから、まともにリンの方を向けない。俺の事を察したのか、それともやっぱり単純だからか、リンは「しかたないなー」と、笑った。
家に帰ってから、リンが「早くお姫様抱っこー!」と、俺に飛びついてきたのでチャレンジ! ……したんだけども持てなかった。リンの体重は俺の予想を超えていた。まあ甘い物大好きだから、ていうかいつも食ってるからそりゃあそうなんだろうけどさ。
リンには「レン力ないねえ」と残念そうに言われた。ごめんな! 運動できなくて! もう色々と泣きそうだわ。
「じゃあお詫びに可愛いって言ってよ」
笑顔で俺にねだるリン。それが、最大の壁なんだよなあ……。
別に、こんな事はわがままだとは思わないんだけど、言葉にしないだけで、いつもいつも思ってるんだよな。
世界で一番わがままで、可愛くて、おてんばなおひめさま。危なっかしいから、ずっと傍にいるよ。笑っておくよ。だからずっと屈託のない笑みで笑っててくれ。
お前と俺は、二人で一人。恋人は他人が愛を生み出すけれど、俺らは双子っていう、最初から結びついている深い深い関係。
いつか別の愛情は芽吹いてしまうだろうけど、でも絶対お前から離れることはしないからさ。大人になっても俺を使っていいんだよ。ねえ、おひめさま。
とても気持ちいい返事で良いんだろう?
「だいすきだよ」