二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.318 )
- 日時: 2012/01/14 10:11
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 正夢デエト かわいらしいうた。
そうここは、私が幸せになれる場所。
#01 あなたといられる夢の中
一緒に踊りましょう? って、君は笑って手を差し出した。優しい声と笑顔に、私はなんだか嬉しくなった。
あなたの声が耳に伝わって、心臓がドキドキと動く。高鳴る鼓動は鳴り止まない。ちょっとした恥ずかしさと幸せな気持ちから、微笑を返して、手を握った。ドキドキして、眠れるはずもない。
整った顔立ち、澄んだ目。凛としながらも優しさを兼ね備えている君を、そっとずっと見つめていたら、君はどうやら気付いてしまって、ちょこっとだけ驚いたような目をして、小さく笑った。なんだか、とても恥ずかしくなって、顔を伏せた。
ダンスの練習なんてしたこともないのに、体が勝手に動いている。おかしなことだけれど、この世界では常識なんて無用。
世界が私の感情を許してくれるまで、二人はずっとここで踊る。ここだけで、笑い合う。
雲が通って、踊りはやめた。君は手を繋いだまま走る。何があるのだろう? 君はしばらく走って、止まった。結構走ったからか、足が疲労して息切れする。君もどうやら同じだったようで、膝に手を当てて息を整えていた。
息を整え終わると、君は顔を上げて笑いながら言った。
「一緒に出かけましょう」
私の意見なんて聞かずに、手を引っ張ってフワフワな雲の上に乗る。君は雲を追いかけていたのだろうか。だとしたら嬉しいと思う。フワフワとした浮遊感と、雲の感触が心地よい。小さくなっていく世界を見て、君と目を合わせる。一緒に笑って、雲の上に寝転がる。
この世界が許す限り、二人はずっと夢の世界で語る。他愛もないような話を、ずっと繰り広げて笑い合う。
本当はまだ話せてもいなくて、本当は話せるはずもなくて。だからこそ、夢だけお姫様みたいになっている。
——視界が白くなってきた。意識も白くなってきた。……ああ、もう終わりの合図が。君は私の手を強く握った。