二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ曲を好き勝手に解釈してみた ( No.321 )
- 日時: 2012/01/20 21:31
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 正夢デエト ラスト。…と思ったがなんかいっぱい付け加え
さよなら、夢でいつも逢っていた君へ。
#03 願いは夢から、現実へ
目を見開いた。……喪失感が、私を襲う。私の両目からは無意識に涙がほろほろと零れ出る。どうしてこんなに悲しいの? 現実的な夢のことを現実と思ってしまったから? 自問しても、答えは返ってこない。
無機質な携帯のアラーム音が部屋に響く。私はアラームを止めて、そのついでに日付を見る。今日が平日ということに、心が更に重くなる。
——さよならだなんて、言いたくないのにな。
夢と現実であるからこそ。もう夢を見れないかもと思ってしまうんだ。実際は毎晩逢っているけれど、この夢がいつ終わりを告げるか分からないから。さよならって言葉で、夢の最後を締めくくる。言いたくない言葉を、一生懸命笑って口に出す。
もう、さよならは飽きたよ。君とずっと繋がっていたいよ。
呆然として考え込んでいた私は、はっと気が付いてベッドから立ちがる。ハンガーにかけてある制服を、服の上から着て、携帯や筆箱、ノートや本その他諸々を適当にバッグに入れて、部屋を出た。
そして、いつも通りの様に準備をして、朝食を食べて、学校へと登校する。いつも通りのことが、今日はやけに面倒と感じる。
いい加減に過ごして、空はもうオレンジ色に染まっていた。教室の中で一人、悩みを頭の中で巡らせている私は、きっと君に逢いたいからなんだ。
——そう、夢だけなんだよなあ。私が君に逢えるのは。私が、お姫様で居られるのは。
がらり、と教室のドアを開く音がした。何となく見てみると、私の心を覗いているのか、紛れもなく、私の好きな君の姿だった。
走ってきたからなのか、息をはあはあ切らしている。うーん、デジャヴみたいな。あの時は雲に乗せてくれようとしたんだっけ。
授業中も見つめている君の机を見てみると、机の上にひとつ、筆箱が置かれていた。おそらく、忘れ物でもしたのだろう。
実際、冷静を装っているのだが、ばればれな気がする。顔が熱を上げて、どんどん紅潮していってるのが分かる気がする。
「あ、忘れ物?」
「ああ……うん」
君はそう言いながら、息を整えながら歩く。部活、終わったのかな。ちょっと汗をかいている。君を見つめていると、一秒、目があった。