二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.397 )
日時: 2012/05/13 10:28
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: FREELY TOMORROW1

 想い想い、恋心ははじける。


#01 片方、こちらから。


 ——目を閉じれば、君が映る。 

 こんなに近くに居るのに、人が居すぎて手さえ伸ばせない。二人ぼっちの世界であっても、君はただ笑うだけ。心ごと、体ごと。全部私の記憶の中にある、幻。まぼろし。現実なんかじゃない。
 君を想う度、君と目が合う度、君が笑う度。なんだか顔が熱い。君と会話するのが、君を想うのが困難なくらいに、私はおかしくなっちゃう。
 君が大好きだ。君を愛してる。言葉にするのが恥ずかしい、もどかしい想いが、私の中にちゃんとある。本物で、本当の。今まで、何人か付き合ったことはあったけど、この恋が叶ったらきっと楽しいだけじゃない。今でもだけど、きっとくるしい。
 そんな、愛情が。君への想いが、全身に渡って、指先から流れ出した。それが、君と私の関係のはじまり。


 いつも遠くから見ていた。
 彼は、クラスの中心といった感じで、私とは全く正反対だった。真逆。だから眩しくって、憧れて。そして恋焦がれたんだろう。
 彼の周りにはいつも人だかりが出来ている。同学年以外からは、見るだけで黄色い歓声。外に出かければスカウトの嵐。そしてボランティア精神に満ちた優しい心で、近所の人からも好かれている。ここ周辺では軽く有名人。
 だけど彼は、一回も付き合ったことがないのだという。より取り見取りなはずなのに、女の子に恋したことがないらしい。不思議なものだ。
 彼が笑う姿を見て、机に顔を突っ伏す。今顔をあげたら、真っ赤で恥ずかしい。
 だからこそ。この前のかなしそうな顔が余計に気になっちゃうんだよな……。
 
 この前の帰り道、一人で歩く後姿を見た。土砂降りの雨の日で、よく見えなかったけど、横から見た顔は憂いに帯びていて、そして瞳から涙が流れていた。空から、雨が降るように。空から、涙が流れるように。 雨は余計に勢いを増して、君の姿は雨の中に消えてしまった。私はそこに立ち尽くしていた。

「はあ……」

溜息が漏れ出した。想う度にくるしくなるな。