二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.409 )
- 日時: 2012/06/30 22:22
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: FREELY TOMORROW5 展開急すぎww
ごめんね、まだ揺らいでるの。
#05 曖昧でごちゃごちゃなハート。
こんな恋、私は今まで知らなかった。
誰かを本当に想う恋。誰かに想われて想う恋。どちらもはじめてで、どちらも尊くどちらも素敵だと思う。自分から想い慕うのもいいけど、女の子だし、想われたい。どっちの恋にも、どっちの相手にも、もう少し寄り添っていたい。失礼がいいわけじゃあないけど、それでも私はどっちも諦めることなんてできない。
私の部屋で、ゲームに目を向けている慧の横顔を眺める。高校生なのに、ゲームに夢中とか。小さく笑っていたら、慧はゲームを向いたままで言葉を発する。
「葉都ってさー。誰が好きなの?」
「え……なんで?」
だってだってだって。慧は私と付き合ってるんだし、そんなの決まってるでしょ、世間的には。
と、思いつつも、私は慧の名前をしっかり呼べなかった。だってまだ君も好きだし。勿論慧もちゃんと好きだけど……っ! 慧って言えば、すぐに終わる話題なのに。ばればれのくせに、隠そうとする。嘘ついた方が、まだ簡単だ。
何も言えなくなって、急に黙り込む。付き合う時のどきどきした沈黙とは違う、耐え難い沈黙。気まずい、と思いながら私は、慧と昔約束した、馬鹿みたいな、恥ずかしくて言葉にもできない約束を思い出していた。あの頃が、最高のハッピーエンドだったりして。
今でも普通に夢見てる私。ああ、恥ずかしいな。
「……俺のことは」
「好きだよ」
「じゃあ前ストーカーしてた奴は」
「何だよその言い方はー……まあ、好きだよ」
言ってしまった。嘘ついたところで、私は嘘へたくそだし、慧は人の心よく見抜くし、結局ばれるだろうし。正直でいた方がいい。
「まあ、しょうがないかな」
意外にも優しい笑みを浮かべて、くしゃくしゃと頭を撫でられた。その笑顔に、ときめいたりしてしまって、顔が見づらい。
暁に染まってく星空のように、だんだん、だんだんと、慧の想いに惹きこまれていく。これが、魔法か。苦しみも悲しみも過去も薄れて消えて、同じ色に染まっていく。
「私は、慧のこと本当に好きだから」
心ごと、体ごと、全部脱ぎ捨てたこの魂。隠すもの全部脱いで、全部素直に打ち明ける。ただおとなしかった普通の私が、思い出す記憶。
今まで、気付かなかったコイツの優しさと、想い。大きくなって、無くしていた熱情が、指先から流れ出して、私を動かす。
「明日、一緒に遊ぼう」
断られるのを恐れずに、君を求めれば。それは未来を変える革命かもしれない。きっと、二人が愛し合う未来。
今度は私が慧の心をノックして、私の魔法にかける番。かけてかけられて、二人が同じ気持ちになって、奇跡は起こる。
「いいよ」
————明日も自由になれるはず。