二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リク】ボカロ曲を好き勝手に【募集】 ( No.77 )
- 日時: 2011/05/21 18:53
- 名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: W6MelwHU)
「わたし、ここまできずついてるのよ?」
#02 それはアンタが悦ぶ自傷
私は言いたい事を言ってイスに凭れかかる。思い切り凭れたせいで、イスが少し傾いて落ちそうになった。危ない危ない。
彼女は、濡れた顔を私の方へ向けて、怒鳴る。
「なんで! アンタに何が分かるのよ!」
アンタは私の何を知ってるの。私もアンタの事知らない。アンタも私の事知らない。
「……答えられないなら、勝手に死なせてよ」
言いながら、リストバンドを外す。一人で慰めた跡。
私は、それを見ても特に思う事はなかった。リストカットは、苦しんでるよ、って言う証拠で、その傷に気付いた誰かは心配すると思う。あるいは、何か言われたり。
自傷行為だったらシャーペンぶっ刺したり髪抜いたり頭ぶつけたりすれば良いのに。そしたら傷も残らない。つまり、誰にも心配されない。
どんなに不幸を嘆いても、それは自分自身との戦いで、私にはどんなに相談されてもどんなに心配しようとそれは結局他人事。くだらない。
「私に何と言おうと、『死にたい』って言う問題はアンタが決める事だよ。だから私に傷を見せ付けないで。傷つけて死にたい証拠表しても困る。むしろわざとらしーわ」
そう言ったところで、彼女は顔をあげていた。悔しいと言う様な、悲しいと言う様な。でもそこがわざとらしい。
「死にたければいつ死んでもいいんだよ。今でも明日でも。でも私を原因にするのはやめてね。だって私が決めた事じゃないんだもん。死にたがってるだけなら、アンタが傷ついてるのなんて、誰も気付いてくれやしないよ。——それに、今のアンタ、みじめだしね。だから、死にたいんなら自由にしていいよ」
私は、言い切った。誰かに死にたいなんて言うのがおかしい。死にたいなら死にたいで理由もその意味も言わないのが当たり前だ。ましてや自傷行為を言う必要があるのか? ないに決まってるだろうに。
「ね、死にたがりさん。じゃ、今日はそろそろ帰らない? 私の心が淀んでいくから」
私はそう微笑んで、その日は帰る事にした。
彼女の背中を見ていると、それはとても悲しそうで、ついつい手を出したくなった。背中だけ見ていると、の話なんだけど。