二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アリスと兎の逃避行 【イナズマイレブン】 ( No.153 )
日時: 2011/05/08 20:23
名前: さくら (ID: j9SZVVec)

「私は本日より就任したイタリア代表の新しい監督だ」




「———ッ…!?」

「新、監督…?」


ゴクッ。フィディオ達が一斉に息を呑んだ。

だが、動揺するのも無理は無い。昨日まで何も無いように指示を出していた監督が、急に変わった。

そんな事ある訳が無い。フィディオはそう思っていた。


「嘘だ!監督は俺たちに辞めるなんて一言も言ってなかった!」


するとミスターKは、こんな事も予測していたかのように自分の懐に手を伸ばし、一枚の紙を取り出した。


「!それは、イタリアサッカー協会からの正式な辞令・・・?・・・じゃあ本当に、」



「ミスターK。それが私の名だ。」




「ミスター、K…?」


「早速だが、新しい監督として発表することがある。」









「・・・お前達はクビだ。」









「!?馬鹿なっ!」


ミスターKは不敵な笑みを零すと、後ろに11人のローブを被った少年達が並ぶ。


「そして彼等が新しいイタリア代表。———“チームK”だ。」


どうやら彼等はイタリア在住の少年達らしい。

するとミスターKが続けて言う。


「これから我々は練習を始める。・・・お前たちはグラウンドから出て行け」

「———“はいそうですか”って納得いく訳ねえだろ!」

「代表候補にも選ばれ無かった彼等が、俺達より実力があるとは思えません!」

「誰を代表メンバーにするかは、監督の私が決める事だ。」

「俺達より彼等の方が優れていると言うのですかッ!?」


フィディオ達が今の怒りをそのまま口にする。言い切ったフィディオ達に、ミスターKは少々間を開けてこう告げた。



「・・・では、チャンスをやろう」



「チャンス・・・?、」


「チームKとお前達とで代表決定戦を行い、勝利した方をイタリア代表とする。試合開始は明日の午後、このグラウンドで」



「・・・分かりました。」


此処まで来て、このイタリア代表の座を譲る。フィディオのプライドが許さなかった。

フィディオがこの件を承諾すると、ミスターKはフィディオ達を無理矢理グラウンドから出した。

















「とにかく、練習出来る場所を探そう。俺たちは負ける訳にはいかないんだ!」


フィディオが皆に声を掛けるが、皆の表情は暗く落胆したまま。

そしてブラージが、呟くように話しかける。


「・・・キャプテンは何時になったら帰って来るんだ、」

「・・・ッ!」


ブラージの言葉を耳で聞いた皆は、先刻よりも暗い表情を作る。


「あの人のことだ。チームが彼を本当に必要とした時、きっと帰ってくるはずさ、」


そう言ってフィディオは空を見上げた。それには、自分が見上げるこの空の向こうには、あの人が居る。繋がっているんだ。そういう思いも込められていた。








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