二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アリスと兎の逃避行 【イナズマイレブン】 ( No.158 )
日時: 2011/05/09 14:15
名前: さくら (ID: j9SZVVec)
参照: サクラ視点に戻リンゴ。

私はグラウンドに向かう途中、病院のガラス越しに青のユニフォームを来た少年達を見た。

それは正しく、オルフェウスの面々だった。ただ、其処に居るのはたったの7人。

病院から出てきたオルフェウスの面々は、皆、暗く険しい顔をしていた。後からフィディオも出て来たので、私はフィディオに駆け寄る。



『フィディオッ!!!』

「、———!!、サクラ!」



まるで“どうしたのか?”“何でこんな所に?”などとでも言いそうな顔を私に向ける。

そして、若干間を空けてから案の定フィディオは「何で此処に?」と聞いて来た。


『“何で?”じゃ無いよ。フィディオ達こそ何で病院なんかに居るの?』

「—————、・・・・・いや、サクラには関係無いから、」


そう言ったフィディオは、いつもの表情とは酷く懸け離れていて、悲しそうで暗く、怒りも若干含んだ険しい表情をしていた。

“関係無い”その言葉にちょっと怒りを覚えたが、いつもと違うフィディオに、私は反抗する事が出来なかった。

なので、あまり感情を露わにせず、遠慮がちに聞いてみる。


『・・・どう、したの?』

「ほ、ほら。サクラも練習があるだろ?・・・こんな所に居ても良いのか?」

『・・・ねぇ、本当にどうしたの?フィディオも、アンジェロも、マルコも、皆。ブラージは?ジャンルカは?』

「君には関係無い事なんだ。首を突っ込まない方が、身の為だ。」


そう言ったフィディオは私の表情が曇っていく事を察知したのか、慌てて私が何で此処に居るのかを聞いて来る。

それで、私は此処に来た目的を思い出し、フィディオに言う。


『そ、そうそう!!忘れてた。フィディオ!!大変なんだよ!?ミスターKって名乗る男の人が・・・』


「「「えっ・・・?」」」

「サクラ、今。何て言った?」

「ミスターK、だと?」


“ミスターK”。その名前を聞いた皆の表情が、先刻よりももっと険しくなる。

ミスターKは、イタリア代表を利用する。フィディオ達を代表の座から引き摺り下ろすと言って来た。

“ミスターK”の名前を聞いた途端、表情を険しくさせた皆。まさか。もうミスターKは皆に何かしたって言うのだろうか。


『皆、ミスターKを知ってるの!?』

「それは僕達の台詞だよ。サクラこそ、何でその名前を?」


アンジェロが言う。

もしかして、先刻フィディオ達の様子が可笑しかったのは、ミスターKの所為なのかもしれない。


『・・・私は、先刻、ミスターKと会ってた。会ってた、って言うか捕まってたんだけどね、』


それで、私がフィディオ達に伝えなければいけない事を伝えた。

するとフィディオ達は私が話した事が全て、あのミスターKから聞かされた事。代表を掛けた試合をする事、そして数々起こった事故により、ブラージを初めとする残りのオルフェウスの面々が怪我で出場出来なくなってしまった事。全てを話してくれた。

現在、無事なのは此処に居る7人だけだそうだ。


『こんな事があったなんて。・・・私がこの試合に出て、サポートする!!!』

「駄目だ!!君にはアルゼンチン戦が控えているだろ!?君はそっちに行くんだ!!」

『嫌ッ!!私だってこの事に関係あるんだもん!!それに、フィディオ達が苦しんでるのに、黙って見捨てろって言うの!?』

「君には試合があるんだぞ!?それに、必ず戻って来ると、約束したんじゃないか!?あのミスターKに!!」



『あ。』




この討論、フィディオの勝ちの様だ。痛い所を疲れた。私は条件付で此処に来たんだった。すっかり忘れていた。

これには私も何も言えず、悔しさを堪えてフィディオの言う通りにした。


『・・・ごめんね、フィディオ。何も力になれなくて。』

「良いんだ。これは俺達の問題だから。」

『あーもう!!あんな約束、しなければ良かった!』

「絶対に首突っ込むなよ?帰る所はミスターKの所なんだ。絶対に無茶するな」

『分かりました。』


最後、フィディオにごめん、と謝り、この場所を後にした。


私が戻るのは、ミスターKのもと。

***