二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アリスと兎の逃避行 【イナズマイレブン】バトン開始! ( No.286 )
- 日時: 2011/08/19 19:33
- 名前: さくら (ID: Rn9Xbmu5)
- 参照: 運命論
——03——
※神童視点※
学校に行く仕度をして、家を出る。
今日はおめでたい入学式だ。
他の部はこんな騒ぎの中、朝っぱらから部活なんてしないがサッカー部は違う。
今日も朝っぱらから賑やか朝練である。
今年はどんな一年が入ってくるのか、と期待に胸を寄せる一方で、ダルイ。かったるいと言う気持ちもあり半々。
重苦しい足取りで地を踏み進む。
いつもはもう少し早く出るが、今日は少しばかり寝過ごしてしまったのだ。ベッド近くの足の長い小さいテーブルに置いている俺の目覚まし時計が本調子では無く、少し寝過ごしてしまったのだ。
珍しく目覚まし時計の五月蝿い音で目覚めなかった事に、疑問を持ち、吃驚して立て掛けてある別の時計を見ると、10分程寝過ごしていた。幸運な事に、まだ朝練が始まる時間帯まで時間があったから良いもの。
仕度を終え、部屋のドアを開けると間違えて自分が出るより早くドアの取ってを離してしまった所為で、俺の顔とドアは正面激突してしまったのである。
そして、重苦しい足を動かしながら、今に至る訳だが。
さっきの不運な事故等といい、今日の俺は運勢が悪いようだ。
・・・いや、悪い気しかしない。
これ以上の事が、起きなければ良いが。
もしかしたら、昨日の土砂降りの雨の所為で出来ている水溜まりに足を思いっきり入れてしまうかもしれない。
頭の上の鳥の糞を落とされるかもしれない。
何かに足を引っ掛けて、豪快に転ぶかもしれない。
「・・・もう、考えるの止めよ」
ついつい、考え出したら止まらない。
行く先は常にマイナス思考になるのが昔からの俺の悪い癖だ。
はぁ、
溜息を付き、チラ、空を見上げた。
直ぐに目線を正面に戻し、また歩き始める。
すると、突然俺の身体が揺らいだ。
『———……痛ッ、』
「ちょっと、ちゃんと前向いて……ッ、!?」
『………ッ、』
気を取り直し、また同じように歩いていると、曲がり道を曲がり、歩いてきた少女と、ぶつかった。
彼女は頭、俺は肩をお互いにぶつけ、少女に注意しようと下を見ると、少女が額に手を当てていたので突然心配になり、大丈夫か、とでも声を掛けようと顔を覗き込んだ。
そして何秒間か、俺達は石化するのであった。
同時に彼女も顔を上げ、鼻と鼻が接触しそうな位の至近距離で、顔の中心部分に熱が集まる。
そして一瞬、少女の瞳が揺らいだ気がした。
それに吊られて、俺の頭の中の記憶が蘇る。成長して、顔立ちも少しばかり変わっているが、ふわふわと風に靡くウェーブの掛かった蜂蜜色の癖毛の髪の頂点には、アホ毛が立っていて、その髪に溶けてしまいそうな位綺麗な髪。
瞳は、宝石の様に輝くピンクローズ色の瞳であり、優しさも十分に残る、強い光を放つ瞳。
可愛げのまだ残る超の付く美人であり、そんな美人と至近距離で見つめ合っている、という事に俺も思春期の男子ということで、抵抗もあるが今はそんな事を考えている場合ではない。
まだ幼い頃の面影が残っているし、幼い頃からの仲である。分からない訳が無い。
俺の大好きだった人で、大嫌いで別れた大切な幼馴染。
声に出して、名前を呼んでみる。
「・・・こ、虹彩・・・?」
名前を、七瀬虹彩、といった。
***
拓人、蘭丸、虹彩は幼馴染。
幼い頃の3人に恋愛感情は無いけど、大切で仕方ない幼馴染。