二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) バトン発行!! ( No.339 )
- 日時: 2012/02/18 14:28
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0569x/
ep27
「———ッ、サクラ・・・?」
突然聞こえなくなった携帯電話からのサクラの声に、冷や汗が背筋を伝う。
最初は、あのサクラの事だからふざけてるのかもしれない。と思ってそれなりの受け答えはしたが、どうにも通常では無さそうだ。次第に大きくなってゆく自身の声。どうした、そう声を掛けては見るものの、返事が返ってくる気配は無かった。
「サクラ!?どうしたのっ、サクラ!!」
私の声の音量が絶頂に達した時、後ろのチームメイト達も何やら騒ぎ出した。マーク達が慌てて駆け寄る。
「サクラが、サクラが如何も可笑しいみたいなのッ、」
事情を話すと、口々にチームメイト達から言葉が漏れる。
先程まで楽しそうに私と話していたサクラ。若しかしたら、襲撃があったのかもしれない。サクラの身に何かあったのかもしれない。考え付くのはそんなマイナス思考のみ。マイナス思考が止まらない。まぁ、それが人間なのだから、逆らえないのだけれど。
「…ジュリア、サクラの携帯にはGPS機能は内蔵されているか?」
本当に、今の携帯とは便利なものだ。写真にメール、更にはGPSという追跡機能まで付いている携帯まである。
確か、サクラと話して居た時、GPSが付いているという話を聞いた気がした。私は、サクラの無事を祈りながら追跡を始めるのであった。
**
途中で脳裏に黒い閃光が走り、通話を遮断され、恐らく3分の時間が経ったと思われる。今までに無い強い激痛に、頭をフラフラさせながら目覚めたのは、何処かの神殿の様な場所だった。眩暈に瞳を小火付かせながらも確実に読み取ろうと必死に頑張る。
其処には、神殿の中心だと思われる部屋に私がいる事、壁には数々の龍が描かれている壁画、階段が続いており、その頂上には微かに見ることの出来る神話に出て来る女神の様な姿をし、白と黒の龍に寄り添っている女性の姿が伺えた。そして、その女性…正確には少女だろう、少女が最近激痛に襲われた際伺った、黒姫の真の姿とやらに似過ぎていた、否、黒姫そのものだった。そして何処か神々しい此の雰囲気。此れ等の理論から、此処が何かの神聖な場である事が悟れるのであった。
そして音も無く私に忍び寄る影に、私は肩をビクつかせる。
「お目覚めになったかしら、」
躊躇無く発せられたその言葉に、身を強張らせながらも意を決し、振り返る。
すると其処に居たのは、先程私が視たあの彫刻像の少女だった。だが発せられたその声に、少女が黒姫だという事が分かる。
『何で、今度はこんな場所なんかに、』
「“こんな場所なんかに”という言葉、今すぐ撤回しなさい」
全く、ふざけているのだろうか。否、只ふざけているだけならば、此の様な場所に態々出向かせる訳も無い。何か訳があるはずだ。
『分かったよ。撤回するから話を聞いて。何で此処に「連れて来たの、だろう?分かって居るぞ。」
急に変わった黒姫の口調に内心驚く。
「驚いたか?だがな、此れが我の真の姿なのだ。真の姿、と言うには少しばかり惜しいがな。」
『真の姿…?如何いう事?』
伝えたかった言葉を伝えられず邪魔された黒姫に10という文句を言ってやろうとも思っていたが内心驚きっぱなしで文句を付ける気も萎えた。この薄汚いう○こ野朗!←
「あの彫刻像を見ただろう?あれは、我が神として生きていた時の姿だ。この口調も、昔のものだ。この世界で2度目の人生を迎え、少しは此の世界に慣れようと頑張ったのだがな、やはり此方の方が良い!」
最後に見せたあの太陽染みた笑みは、黒姫に似つかず何処か円堂が伺えた。
急に状況が変わり、黒姫は闇とか暗黒系が属性などと思っていたが、そうでも無さそうだ。半場付いていけない頭を私は急ピッチで進ませる。
「白龍と黒龍は元は同じ一つの龍でな、二つの頭を持つ龍だった。そして私の中から生み出された。所謂飼い主、とやらだな。そしてこの世界、偶然にもお前が生存しているこの世界に私は復活、とは言えても、まだ完全体では無いが。———
黒姫が一人淡々と語る。あまり頭が付いていけていないので、整理しながら説明すると。
黒姫から生み出された白龍と黒龍の結合体は強大な力を秘めており、以前暴走した際にその世界まで巻き込み、星丸一つ滅びそうになった。その時黒姫が自分を代償に結合体を二つに練成し、自ら滅んだ。その際に生まれたのが白龍と黒龍である。
その事と私がどうやら深く関係している様だ。白龍が私の中に居る以上、黒姫は正気を保っていられない。彼女を私から解放しないといけない。だが開放する際に白龍と黒龍の封印が解け、交わってしまうかもしれない。それだけは何とか避けたい。私は彼女を解放しないと、彼女は黒龍に呑まれてしまうらしい。
『でも、急にそんな事言われたって、・・・、』
「それは心配しなくて良い。必ず時は来る。」
「我の真名は、“モナリーゼ・ドンペルファ・シェイクスピア”。“龍ノ姫”だ」
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