二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

悪戯schalkhaft*.   ep006 ( No.364 )
日時: 2012/02/18 15:26
名前: さくら (ID: te9LMWl4)

あれから二人で色々周った。名前は咲夜さんというらしい。咲夜梓美、良い名だ。
彼女は、外見に似つかわしくとても丁寧に雷門を紹介してくれた。
悟っするまでも無いが、彼女は只のヤンキー女では無いと言うことだ。それは私を更に興奮させた。普段“七瀬”と“シーウェル”の名を語っている以上、失敗は許されない。優雅に振舞っていても何処か気の抜けないギシギシした世界に立っている私に。これ以上の面白いものは無かった。
———昔は、それに“サッカー”を当てはめていたが。


「何だよその顔。態とらし」


ふふっ、癖まで付いた御淑やかな笑みを浮かべていると咲夜さんが言った。
失礼な。
だが、本当に、面白い。人間を玩具の様な感覚で接するとまでは行かないが、内心安らぐ。


「す、すみません!此処の学校の人ですか!」


すると突然背後から、変声期前の高い少年の声がした。
振り返ると独特な茶髪をした少年が立っている。この少年が、後の雷門サッカー部の革命の中心となる、———松風天馬だ。
決して“松茸天馬”では無い事を、理解して欲しい。


「あァ?誰だテメー」


ちょっとちょっと、怖いわ咲夜さん。
今でも喧嘩し出しそうな不良面で言わないで。「ちょっと何気安く喋り掛けてんだ、潰されてーのか。ああ?何ならもう帰れなくしてやろうか?海に沈めてやろうか?」的な表情で見下ろさないで。

真新しい洋服に身を包んだ少年は、如何やら新入生らしい。
と、其の前に、目の前の新入生は先程「この学校の人ですか?」と聞いて来たが、私はともあれ咲夜さんはちゃんとした制服に身を包んでるって、あれ?
咲夜さんも、着崩し過ぎじゃないか。嗚呼、此れだから目の前の少年はあんな事聞いたのか。となると、今までの私達は周りから如何思われていたのだろう。


「君、新入生かしら?」

「あ、はい!松風天馬と言います!あ、松茸じゃないです!松風天馬です!」


見事に言いやがった。
と、ツッコミを返してやりたいが、もう此処まで来るとキャラ崩壊も半端無いので此処までにしよう。出来るだけ。


「私は、七瀬虹彩。私は転入生なの。あ、新入生では無いわよ?」

「アタシは、咲夜梓美だ。」


続けて咲夜さんが、雷門中サッカー部2年、と言うと、松風君は瞳を輝かせた。
そして今にも飛び掛りそうな勢いで、咲夜さんを凝視している。


「へぇ、不良女もサッカー出来るんですね!!俺、感激しました!」

「おい。」


不良にだって、サッカー位出来るわよ。そう言おうとしたが、その言葉は次の松風君の一言によって、阻まれた。
私にとって、とても重く残酷な、一言によって。


「じゃあ七瀬さんも、サッカー部なんですか?」

「え、」


言葉に詰る。
上手く返答出来ない。呼吸も止まってしまった。
“サッカー”。その単語が、私の脳内でぐるぐる廻り続ける。何時の間にか、冷や汗が背中を伝った。


「そう言えば、そうだな。七瀬、アンタの目的はサッカー部なんだろ?」


最近雷門に転入してくる生徒は、サッカー部目的が多いらしい。それは、雷門が名門だからだ。サッカーが中心となって動く此の世の中。
…どれだけサッカーの実力が有るか。それが、将来を握るらしい。本当、可笑しい話だ。

追い続けに咲夜さんが言葉で私を追い詰める。
咲夜さんは、軽く言っているつもりなんだろうが。


「アンタもサッカー出来るのかよ?」

「あ、の…、」


「あ、俺、部活見学しに来たんでした!」


その松風君の言葉が、この空気を吹き飛ばした。


「ああ、なら良いよ。見学して来い、先輩達も居るかも知れないからな」


“はい!”飛び切りの笑顔を顔に貼り付け笑う松風君は、何処かあの人に似ていた。
太陽みたいで、優しくて、私が嫌いなサッカーを死ぬほど愛していた、あの人に。


「あ、咲夜さん。御免ね、私理事長室に行かないと行けないの。今までの案内有難う、とても助かった」

もう此処には居てられなくなり、お礼だけ行って、駆け出した。

入学式までまだ時間はある。
今から、何処に行こうか。





240218
虹彩激しくキャラ崩壊すみません。
たまにあります。