二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.369 )
日時: 2012/02/25 14:28
名前: さくら (ID: te9LMWl4)
参照: 期末テスト終わった。あ、ちょっと逝って来ますぶもももも。


「我の真名は、“モナリーゼ・ドンペルファ・シェイクスピア”。“龍ノ姫”だ」


“龍ノ姫”。此の単語には聞き覚えがあった様な気がした。何時聞いたのかは思い出せない。
モナリーゼ・ドンペルファ・シェイクスピア。そう名乗った彼女に向けて数回瞬きを繰り返す。

何故なら、黒姫の容姿が驚くほどに変わってしまっていたからだ。
私に似ていた容姿はあの彫刻像の者と同様とし、神々しい女性を醸し出していた。先程は少女、と描写したが、此処等で幼女という表現が一番しっくり来る事を悟る。

流れる漆黒の様な黒髪は、独特の編み方をしており、下ろせば等身大なのは明らかだ。雪の様に透き通る白い肌の上に、整った顔のパーツがこれまた絶妙な位置に設置されている。
瞳は灼熱に燃える、紅だった。
見た目少女よりも更に幼い幼女なのだが、生前は紀元前753年から栄えた、古代ローマで神として生きていたらしい此の幼女の年齢は、言うまでも無い。


『シェイク、スピア…?』

「おいおい、お前さんは我の事をあのくどい作家だと勘違いしてはおらんか?我は見ての通り、幼き幼女だぞ?血迷ったか愚民め」


其れからの彼女の話によると、日本で氏が同じな人間同士が居るように、この世界でも氏の同じ人間が一人二人居ても可笑しくないらしい。思い返せば最もな正論に当るが。

そうして、今彼女の真名が明かされた時に起こる問題点が一つある。


『…私は今度から、貴女の事を何て呼べば良い…?』


幼女はその軽い身体を翻し、軽快な足取りであの彫刻像の元へ駆け寄る。そして二つの龍の彫刻像に飛び乗ると、その龍に寄りかかる様にして彫ってある自分を見下ろしながら、不適に微笑んで、言うのだった。


「なあに、今更真名を明かした事に深い意味は無いのでな。此方としては如何でも良いが、ま、好きな様に呼ぶが良い」


不適に微笑み、大きな瞳を細め、二つの白と黒の龍を撫でながら、言うのだった。
では、今まで通り、黒姫で。そう言うと、急に黒姫は顔を顰める。
何だ、まさか黒姫って呼ばれるの嫌なのか?自分でそう呼べって言ったのに?自分で好きな様に呼べって言ったのに?

だが真剣な眼差しで私を見抜き、筋入りの声で言葉を繋げた。


「あ、そう言えば」


龍の彫刻に寝そべり、


「何故我がお前さんを此処に呼び出したか。伝えたかった事をすっかり忘れていまってたわ」


そう、呟いた。

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