二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.372 )
- 日時: 2012/02/26 18:15
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: 期末テスト終わった。あ、ちょっと逝って来ますぶもももも。
「本来の姿に戻る事の出来る様になった今の我でも、此の様にお前さんに縛られている身だ。故に、お前さんに逆らう事の出来ん立場でな。
…話、ちゃんと分かっておるか?」
『イ、 イエス、』
其れからという物、元の姿に戻る事が可能になった黒姫は、“本題”とやらをペラペラと喋り始めた。
お陰で頭の効かない私の脳内はドンちゃん騒ぎだ。
「以前申した様に、我は一秒でも早くお前さんから解放されたいと願っておる。だがどうも、早すぎるのもいかん訳だ。
ちゃんと、その時は来るのでな。気をつけい?我がお前さんの身体から解放されると同時に、お前さんの白龍と我の黒龍の暴走は、確実だろうからな」
何やら話しの内容に寄ると、私が黒姫と初めて面会した際に放った黒姫の最後の言葉。
黒姫としては一刻でも早く私から開放されたいが、それが早過ぎるのもまた駄目ならしい。この世界の全ての事において、此処から如何なって如何なるか、が決まっていて全てがその神様の書くシナリオ通りに事が進んでいるとする。黒姫の私からの開放も同類で、その運命、日時、結果など全てが最初から決まっているという。
そのシナリオ通りに事を進めなければ、自ら自滅の道を開放した事にも成りかねない。しかも此の黒姫の開放には黒姫だけでなく、私や白龍黒龍も絡んでいるので、事はとても慎重に進めなければいけないという事だ。
「ま、我に至っては白龍と黒龍の暴走は別に如何でも良い話だがな。時と場合に至っては好都合にも不都合にも成りかねん。
お前さんにとって其れは紛れも無く厄介な事になるがな。我の言葉を覚えているか?
“この二つの龍が一つになる時。きっと世界は終わるだろう”。良く覚えておく事だな、寛大な我からの最後の忠告だ。
“永遠龍王”は、危険だ。その気になれば、世界を壊せる程の力を秘めてる」
『えいえん、りゅうおう?せかい、壊す』
「言っておくがな、我が狙っておるのは何時でもお前さんの身体だ。解放なんて綺麗な言葉を使うても、我がお前さんから出て行くのではない。“我がお前さんに、清野サクラになる”。其の為には何だってするぞ。お前さんには、消えて貰うしかないがな。
お前さんには悪いが、ずっと縛られて来た此の運命、少しは味わってみるが良い。」
如何やら彼女は私の身体が欲しいらしい。恐怖さえも覚えるが、目の前に居るのが幼女である為、冗談にしか聞こえないのは何故か。
大変な事になってきた。黒姫は私の身体を乗っ取り私と自分の立場を回転させ、自由になるのが望み。そしてその際に白龍と黒龍が暴走するのも確実だと。
私に対するメリットが一欠けらも無い。それは、必ず起こり必ずそうしなければいけないのか。そう尋ねると、当然の様に鼻を鳴らし高く笑う幼女。
「当然であろう?不運だな。その“時”が何時になるのかは我も分からんが、その“時”が必ず来るのは分かる。
そして、」
幼女は私に向かって鋭く指を指し、先程の高笑いとは打って変わった不適な笑みをニヤリと零し、続けた。
「お前さんの兄、確か、ゴッドリームとか言うチームの主将だったな。ソイツが巻き込まれたあの爆発事故の真相も、次期明らかになるだろう。」
『如何いう、意味?』
「我の解放の事にも、そのお前さんの兄の事件にも、嗚呼、何と言うたか、…あ、そうそうガルシルドだ。
ガルシルドという小太り中年の男が絡んでいるのでな。気をつけるんだな。」
“そして、そのペンダントにも。注意を払って置くと、心強いと思うぞ?”そう言い残して、幼女———黒姫は消えた。
——否、実際には私が消えたのかもしれないな。その証拠に、今まで居た神殿の様な場所でも無いし、黒姫も龍の彫刻も消えている。
代わりにあるのは、何もかも白で埋め尽くされた、病室と、———4歳ぐらいの、綺麗な蜂蜜色の髪の毛を持った、女の子。
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