二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.401 )
- 日時: 2012/04/28 16:05
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: 狩屋中篇かきたいいいいいいい
ユニコーン側に一点が追加された。試合開始直後に早くも一点を捥ぎ取ったユニコーン、特に一哉の表情は緩んでいる。円堂も止める事が出来なかった仲間のシュートに驚きつつも、満面の笑みを見せイナズマジャパンの皆に掛け声をする。
ピーッ、イナズマジャパンのボールで試合が再開された。円堂が何度か皆に呼びかけたものの、余り其の効果は無かったらしく皆ユニコーンに押されっぱなしだ。パスも上手く繋がらず、直ぐに相手に取られてしまう。FWの位置から見ても、押しているのはどちらのチームかなんて分かる位だった。
ユニコーンのゴールに中々近づけないまま、ボールは再び一哉に渡った。マークとディランと共にイナズマジャパン陣内へ攻め込んでくる。ジュリアは、と言うと其れをユニコーンゴール前から見ているだけだった。多分、3人だけで充分だと思っているのだろう。
日本をナメんなよ、そう言って近くに居た風丸に指示を出す。
「風丸っ」
「俺達だって世界を相手に戦ってきたんだ!甘くみるな!」
「キミのスピードにどれだけ磨きがかかったのか見せてもらうよ!」
風丸は予想通り一哉からボールを奪い取り、鬼道にパスを出した。風丸が蹴ったボールは綺麗な放物線を描き鬼道の足元に吸い込まれる。其れからイナズマジャパンは着々とパスを繋げて行き、豪炎寺と染岡が前線へ攻める。
「“爆熱スクリュー”!」
「レベルアップしたのは一之瀬だけじゃないぜ!」
「なに!?」
「“ボルケイノカット V2”!」
あ、そう言えば土門も居た。若干可哀相な土門はレベルアップした必殺技で豪炎寺のシュートの威力を弱めた。威力が弱まった“爆熱スクリュー”はGKのキリー・ラビットが難なくキャッチした。
「さあ、本番は此処からよ、サクラ」
「ジュリア、」
気がつかない間に私の隣まで来ていたジュリアは、其れだけ言い残して前線へ出て行く。やっと彼女は戦う気になったのだろうか。
「あいつら、めちゃくちゃ強いよっ、」
「あぁ。ほんの少しの隙も逃さずゴールに襲い掛かってくる、」
「やはり一之瀬君の力ですね。彼を封じる事が勝利への鍵でしょう」
「どうやって?」
一哉は凄い気迫だ。だが其れに負けない位の気迫を醸し出している人物がもう一人居た。円堂だ、一哉の脚の事を知ったのだろう。一哉の全力のプレーに、円堂が全力のプレーで応えてる。
だけど相手は本気だ。全力なんだ、その後も相手の全力の攻めに私達は防戦一方だった。こんなんで勝てるのだろうか?そんな考えがふいに浮き出たけど消した。今回の試合は本当に楽しい。本気でぶつかり合うって、こんなに気持ちが良いものなんだな。ジュリアも段々と本気になっていっている気がする。一哉の本気に押されているんだ。
「くっ、」
パスを受けた私はドリブルでゴール前まで攻め込む。するとジュリアからの激しいタックル。女だが伊達に本戦を勝ち上がってきた強豪チームの主将じゃない。力は男に勝る位にある。
「ボール、遣しなさ、いッ!」
激しい攻防が繰り広げられた。ジュリアは賺さず隙を見つけては脚を滑り込ませて来る。私はボールを自由自在に操ってそんなジュリアの脚からボールを護った。傍から見ても凄い光景だろう、けどボールが取られるのには時間の問題だから一瞬の隙を見つけて鬼道にパスを出した。
「———サクラッ!」
鬼道にボールが渡り、ジュリアを抜くとゴール前でパスを受けた。
地面にボールを叩きつけて蹴り上げる。白と黒のサッカーボールは雲一つ無い青空に舞った。
まずは、一点。追い付こうと必殺技の名称を叫んだ。
「“涙雫の不協和音”ッッ!!!」
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