二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.423 )
- 日時: 2012/05/03 22:59
- 名前: アーシェ (ID: ZGo4Gnz1)
- 参照: 誕生日おめでとう!!!
『君にこの言葉を』
いつのころからだったんだろう。君に惹かれていったのは
彼女は明るくて音楽が好きで、写真を撮るのが一番好きな人だった、
その写真は本当にキレイで、彼女はレンズ越しにこんな綺麗なものを見つけてる
それはすごいと思った、・・・・・でも羨ましくもあったのは一回も言ってない
あの子とあったのはとある公園でだった、空がとても綺麗な夕焼けの日だった
彼女がその夕焼けを撮って、その写真を俺が偶然見てから知り合った同じ学校と知って
それから毎日は俺は彼女の写真をみるようになった、その子は音楽も好きで
彼女の写真は「光」を持った写真ばっかりで、こんな世界を見つけるのがすごいと思った
愛くるしい猫の親子、笑顔の子供、子供を抱いたお母さん、そんな皆が暖かくなる写真
いつもの日常の光景なのに彼女が撮るとこんなにまぶしくみえてくる
そういうと照れたように笑った彼女の笑顔は今もまだ記憶に綺麗に残っている
普段口数が少ない彼女が言った「ありがとう」と耳の奥に残っている
二人で音楽室で演奏した事もあった。そんな楽しい毎日が続くと信じていた
——————あの日が、来るまでは、ずっと、ずっと
いつもどうりのあの昼下がり、学校で二人で音楽室にいた。俺のピアノを聞いていた彼女が
「ねぇ、拓人くん、今度は二人で連弾しようよ。私やってみたいんだ」
「連弾か・・・いいな、じゃあ何の曲にする?練習してくるよ」
「じゃぁ・・・う〜ん・・・これは?」
「あぁ、いいな。これにしよう、がんばるよ」
「うん!あ!そうだ。ねぇ今度二人でどっか遊びに行きませんか?」
「・・・・え?」
「・・・・ごめんなさい、いきなり・・その・・」
「いや驚いただけだ、じゃあ今度の日曜日はあいてる?さくら」
「・・・・うん!じゃあ約束だよ!」
彼女はそうやって綺麗に笑うと楽譜を取りに立ち上がった、その瞬間。
目の前で彼女が苦しそうにして横に倒れていくのを俺は見た、倒れる瞬間がとても遅く感じた
傾くからだ、苦しげな表情、苦しそうに伏せた瞳、全てがとても遅くて
身体が動いたのは彼女が倒れた音とほぼ同時だった、その後の事はあまり覚えていない
必死で彼女の名前を読んで、救急車を呼んだことだけだった
ほとんど真っ白で電子音が響く病室で、彼女は横になっていた
俺は全てを話してくれと頼んだ、彼女は悲しそうに話した、後悔するようにゆっくりと
彼女は幼い頃重い病気にかかって、その後遺症であまり命が長くないといわれたそうだ
それまではなんとなく覚悟していた彼女の命が長くないのだろうという事は、でも
「・・・私ね、あと一ヶ月は持たないだろうって」
彼女は泣きながらそういった
それは予想よりもすごく辛い事でそれを知ってしまったとき全てが分かった
彼女は命が長くないと知ってあのような約束をしたのだと、普通だったら
彼女はそんな事なかなか言えないはずだしいきなりいう事もなかったはずだった
初めて俺は、運命と言うものを呪った
「・・・大丈夫だ、信じていればきっと変わる」
「・・・・でも皆私を腫れ物扱いするんだろうな、・・・さみしいよ」
「皆が見放しても俺はずっと支えるから、味方だから」
そう言って抱き締めると彼女は静かにただ泣いた
あの約束の日は先延ばしになった。なぜならまだ安静にしていなければならなかったからだ
毎日お見舞いに行った彼女の笑顔が見られるように毎日、そして約束が果たせるように願って
その願いは、とうとうかなわなかった
彼女の容態は急変して駆けつけたときはもう遅く俺の目の前で優しく笑って安らかに逝った
まだ俺は何も伝え切れていないのに、彼女への思いもまだ全部いってなかったのに
たった一回だけいった。「好きだ」しかまだ伝えきれていなかったのに
そのとき彼女がカメラとアルバムを入れていた病室の引き出しを空けてみた
彼女が撮った写真が見たかったし、唯一二人で撮った写真がアルバムにあったからだ
Ⅰ
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.424 )
- 日時: 2012/05/03 23:28
- 名前: アーシェ (ID: ZGo4Gnz1)
- 参照: 誕生日おめでとう!!!(プレゼントの続き)
引き出しを開けるとソコにはカメラとアルバムと自分の名前が書かれた封筒があった
震える指で封筒ををあけるとソコにはDVDと写真が二枚入っていた、一緒にいて会った機械でその映像を見た
ソコには病室で取ったのであろう映像、彼女が逝く前の映像だった
『拓人君へ
コレを見ている事にはもう私はこの世界にはいないのかな?ゴメンね。遊びに行く約束してたのにね。守れなくて本当にごめんね。それとありがとう。本当にありがとう、感謝しきれないよ
私ね後遺症でもう命が長くないと知ってから私は写真を撮り始めたんだ。綺麗なものを沢山見つけてみたくて、ずっと一人で撮ってたんだ。寂しかったけど誰も近くにいなかったからこの後遺症のことをしってから
だから拓人くんにあえてすっごく嬉しかったし楽しかったよ。私に普通に笑って接してくれるのは拓人君だけだったから
私の病気の事を知っても、皆が見放しても味方だから、って信じていればいい事おきるってそう言って励ましてくれたのも、きっと信じていれば変わるっていってくれたのも、拓人くんだけだったから
本当に泣いちゃうくらいくらい嬉しかったんだよ本当に本当にありがとう。
拓人君はもしかしたら今自分をせめてるかもしれないね。責める必要はないから、何もかも自分だけで背負ったりしないで、何も伝えられなかった。約束守れなかった、なんて思って責めないで。
私は拓人君にいっぱいもらったよ、いっぱい伝えてもらったよ、だから大丈夫だよ
ありがとう拓人君、最後に私から言いたい事があります、拓人君から言ってもらったのに私その返事をOkしたのに自分からはいったことなかったから最後にこの言葉を言うね
拓人君ありがとう、大好きだよ、ありがとう・・・
またね。拓人君 さくらより』
俺は涙が止まらなかった
俺が今思ってることを先にわかってこの言葉を残した彼女があまりにも優しくて愛しくて
そしてDVDといっしょにはいっていた、写真は俺とさくらで撮った写真と彼女が笑った写真だった
それを見てまた涙がこぼれた、二人で撮った写真の裏に「ありがとう、ずっとすきだよ」の文字
そして彼女の写真には「笑ってくれたらうれしいな」
それを見ると俺は泣きながら笑った、彼女の優しさと純情さに思わず最後まで優しすぎる本当に
「ありがとう、俺も大好きだったよ、さくら」
そういってみた空は、さくらとあった時と同じ綺麗な夕焼け空だった