二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: =血塗れた生き残りゲーム= イナイレ ( No.54 )
日時: 2011/04/08 11:48
名前: さくら (ID: 5TWPLANd)

第四話




ゆっくりと揺れる船。ベンチに腰掛けているとだんだん睡魔が襲ってくる。眠りに落ちようとした瞬間、円堂の声でハッと我に返った。


「おーい!見えたぞ———ッ!!無人島ー!!」


円堂が船から上半身を海へと突き出し、大声で叫んだ。

私は、無人島を見たくて私も円堂の横に来て、無人島を眺めてみた。



『わぁ、凄い!!凄く綺麗!!』



その無人島は、まさに“綺麗”という言葉だけではおさまらない位の美しさだった。

溢れ出す緑の密林〈ジャングル〉、澄んだ青い海、真っ白な砂浜〈ビーチ〉。樹には色とりどりの果物や実が実っていて小動物などの影もいくつか見える。海にはこれまた綺麗な魚達が泳いでいた。

自然の結晶、とでも言うのか。テレビでは見た事がない美しさに私達は目を疑った。


「流石ね、無人島。人が手を付けてないだけあるわ、」

「本当に、綺麗、」


ジュリア、カノンが私の横に来てから言う。

こんな綺麗な島で10日間過ごせるなんて、素晴らしい体験。


島を眺めている内に、もう船は岸へと辿り着いていた。

















次々と少年少女達が船を降りていく。中には飛び降りていく人も居るくらいだ。


「ほら、サクラ、」

『ありがと、フィディオ』


フィディオが私に手を差し伸べる。後ろが美しい密林だから“素敵な紳士”という感想までは持てないが、こんなフィディオも良いものだ。

だが私が船から降りた瞬間、何故か嫌な感じがした。島と海はとても綺麗なんだけども、何か、嫌な感じがした。


「どうした?足でも打ったのか?」

『え、あ、ううん。大丈夫。気にしないで。』

「、それなら良いんだけど、」


心配したフィディオが私に声を掛けてくれた。

さっきの嫌な感じはほんの一瞬だった。フィディオが声を掛けてくれた時にはもうそんな気分も晴れていたのだ。

気のせい気のせい、と自分に言い聞かせながらも私は足でこの島の地を踏んで行くのだった。






私達の後から船から下りてきた中年の男性は言った。


「君達、・・・恋人同士かい?」

『え、あ、その、』


突然何を言い出すんだこの人は。とちょっと怒りを踏まえながら言葉を選ぶのに時間をかけていると、横のフィディオが「はい」と答えた。

こういう知らない人からの質問には、そう易々と答えても良いのだろうか。その前に恥ずかしくて死ぬだろう馬鹿フィディオ。


「そうか、・・・楽しみにして置くんだな、」

『「・・・?」』


この人は何を言っているんだろうか。最初に突然恋人同士かを聞かれ、その次に意味が分からない言葉。

だがその人はこの企画の責任者であるのであまり問い返しはしなかった。

そしてその人は私達を一点に集まらせ、その前に立って、こう言った。







「良く集まった!勇者の諸君!この生き残りをかけたゲーム、存分に楽しんでいきたまえ!!」