二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: NARUTO疾風伝 第一幕—鉄の国— ( No.16 )
日時: 2011/05/28 15:23
名前: おぷゥ (ID: R4l9RSpR)



カカシが閃光を放ちながら、目を見開く


    「夜鐘!」

  「・・・あ!?」

 夜鐘の目の前に、鬼の目玉。飛び出た目玉は紫の液体をまるで涙のように流していた。

 カカシは、雷切を再び放ち目玉を掻き消そうとする、だが目玉は ヒュンっと高く飛び上がっていった。


  夜鐘とカカシはすぐに、あの目玉を追いかけようとした

    「待って」

・・・が二人とも何かに呼び止められた。

 振り向けば鬼の残骸が、ぼこぼこっと少女の形をつくりだし・・・やがて本物の少女、白い着物をまとった黒髪の少女がその場に立っている。


     「待って」

  「・・・君は」

カカシは、その少女を睨みつけた。
 だが、少女は悲しそうに笑う

「弟が随分と迷惑をかけたようですね・・・・・・申し訳ございません」

二人にそう謝罪すると一礼した。


カカシは、あまりにも少女の言う言葉とは思えず目を見開く、そして彼女の言った『弟』という言葉を不思議に思い聞き返す。


  「・・・弟」


「はい、あの醜い獣は私の愛した男・・・弟です」

少女は優しく笑った。
 



   行き過ぎた姉弟愛・・・か



カカシはそう思った。だが、何故あの鬼は・・・あんな風貌であんな状態で弟・・・?



 夜鐘は「・・・鬼とこの村の経緯、教えてよ」と彼女に言い放った。


少女はまた微笑み、頷いた。



  「・・・・・・・この村、鉄の国がまだ鉄の造り方を知らない頃・・・・・・村人達の間でこんな噂がたっていました。『鎖神のお怒りで村が滅びる』と」

「鎖神?」
「・・・【鎖谷】クサリダニに祭ってある・・・武神だったと・・・」
カカシの言葉に夜鐘は反応した。


 少女は頷いてまた話を続けた。


「そして・・・その怒りの発端が私達『姉弟』だったそうです、私は弟を愛して、また弟も私を愛していましたから・・・・・・」


 それは・・・——





  「気の毒だな・・・」
 カカシはそう呟く。
愛なんて人それぞれなのに・・・、


少女は悲しげに笑うとカカシを見据える。

 「確かに、神様の決めることじゃないと思いました・・・・・・ですが、それを決めたのは・・・神ではなかったのです」

 少女は目をつぶった、声が震えている。
夜鐘は黙りこみ、カカシはただ次の言葉を待っていた。



 「・・・それを決めたのは、長くこの場所の上に立っていた者」





         — 長老





  「・・・それは私達の父親、母の居ない私達の大事な父親」




         — 生贄



  「私は父の流した噂に従い谷底へと堕ちました」



         — 鎖の神


  「弟はその後、姿を消して・・・いつの日か醜い姿となって返ってきました」


         — 盲目の弟


  「彼は神様に私の姿が見える大きな目が欲しい、全てを見据える目が欲しいと願いました」


    
         — 魂

  
  「そして長を殺しにかかりましたが、封印されてしまいます・・・ですが弟は一人では無かった、魂だけの私が彼の側に居た、楽しかったころの記憶の私が・・・・」



         — 目玉。



   「・・・・・・・私が死んだのは15、今の姿は6ですが・・・弟はもう永く持たない、父も死んだ・・・そろそろ眠りたいのです」




     「目玉が、彼の肉体です」


 少女はにっこりと笑った。



 カカシは何もいわず、少女が消えていく様子を見ている。

 「・・・・・・・・・・・・それでいいんだね」

   「ええ、それに・・・・・・あなた方の仲間が弟をまた追っているよですし・・・」




    ナルト達か



カカシは目をつぶる、また目を開けると少女は居なくなっていた。
 
 「弟クンは、父親を食ったみたいだけど・・・それって」

夜鐘は小さく呟いた。
 カカシは悲しそうに「嫌いじゃなかったんだろうね・・・そんな父親も」



   大事だったから




 でもわかって貰えなかった





   反抗した




 
 でも怯えられて





   閉じ込められて





 寂しくなって 




   
   恋しくなった





 だから







  痛いけど





 ごめん






   こんな体だから





  僕の体の中で




 息をして








   


   ≪ 一緒に 居て オトウサン ≫