二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: NARUTO疾風伝 第二幕—常闇の蝶共— 参照150突破・  ( No.44 )
日時: 2011/06/12 13:34
名前: おぷゥ (ID: ohiIgZdM)


 叫びが反響し、室内をこだまする。九愚羅の声は天井に潜んでいたコウモリを打ち下とす・・・。

 妖獣や化け物と言われるのも頷けた瞬間だった。

ナルトは思わず耳をふさぎ、後の二人も同じように耳をふさぐ。
 

  「・・・・っ」

 無羅は、かろうじて目を開いた。


 ——なんて奴だ・・・・・・。


左手をゆっくりと耳から離す。



  キイイイイイイイイ


 「・・・・!!!」


とてつもない不快音と耳鳴りが脳を行き来してくる。それに耐えながら無羅は左手を高くあげると、円形武器の月輪牙を出現させる。

 そして、今度は右手を離す。


 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイ



 「ぐうぅ・・・・・・」

鼓膜が破裂してしまいそうで、涙目になりながら構えの低い姿勢をとる。
 
だが、叫びの影響で目の焦点が中々、合わない。


 「・・・・・・」


頭まで破裂しそうでたまらない。


 ナルトやサクラは必死に耳を塞いでいる、今のところ声のした夜鐘の姿を見えない。・・・・・・だが、これを止めなければ必ず死ぬ。全員。

 炎が激しく天井にぶつかりながら、赤々と燃え上がっていた。
照らされた、紫や虎猿は叫びの影響をまったく受けておらず平然としているではないか。


   「あい・・・・・・・つら・・・」

 無羅は震える足に力を入れつつ、紫達の方向に前進する。
虎猿は、ギラギラと目を光らせて無羅を視界に入れていた。

   「ねー紫、狙われてるよ?」


   「ああ」

 紫は扇をひろげ無関心につぶやいた。

 
   「ねー紫、殺さないのー?」


   「いずれ死ぬ」


   「ねー紫、アイツも化け物だよー?」


   「それは死なん」



 紫は扇を両手で持つ、手を離したかと思えば今まで一つだった扇が二つに増えている。

  「開幕だ」


 ブンッと交差させれば扇の先端から規則正しく並べられた刃が顔をだす。
 
 「・・・・・・!」


   ——鉄扇。

  「・・・・・・っち」

 無羅は、重い足を思いきり蹴り、後方へと下がり紫と距離をとった。

鉄扇は軽く見えて重量がある武器だが、戦闘慣れしている相手は軽々と扱うため連激が早いはず。

 紫は先ほどまで軽々と本物の扇のように扱っていた。



 ——不利な戦いになりそうだな・・・・・。



 一方、無羅の武器は鉄で重量も鉄扇どころではないため動きが鈍足になる。普段はチャクラで補っているが、この状況下ではチャクラを生み出す集中が途切れてしまう。


  
 紫は「ご名答、中々の動きだ」と無羅をほめた、「そりゃ、どーも」と情けなく答えるが、心中では、策を張り巡らせていた。




 ガタガタガタッ



 地面が揺れる、コウモリがまた落ちた。










   





   「・・・・・・何してんのよ夜鐘くーん・・・・・・・・・」






 無羅の小さい声が叫びにかき消された。