二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 氷と杏(BLEACH小説) ( No.3 )
日時: 2011/04/06 20:27
名前: まろんけーき (ID: ez4qQ6a7)


第一章

第一節

『出会い』(2)

 「どうだ?ばあちゃん…。」

 少年と血のつながりのないばあちゃんが、その少女を診ていた。

 心配そうに言うと、ばあちゃんが振り返る。

 「軽い凍傷と栄養失調だねぇ。」

 「凍傷…。雪が降ってる中倒れてたんだから、しょうがねぇか。」

 「雪の中!?そりゃぁ寒いよ…。」

 彼の幼馴染である、雛森桃がひどく辛そうに言う。
 さっきはそれ程でもなかったが、今、外は猛吹雪だ。

 「栄養失調ってことは、こいつも…。」

 霊力を持ってる…ってことか。

 霊力を持たないものは、腹が減らない。
 栄養失調…即ち、物を食べないといけないということは、霊力を持っている印なのである。

 「じゃあ、私お粥作ってくるね!」
 
 彼と同じことを悟ってか、桃が寝床を飛び出す。
 ばあちゃんもそれに次いで部屋を出て行った。

 はぁ…とため息を一つつき、自分も部屋を出ようとすると、ばあちゃんが襖から顔だけを出して見せた。

 「冬獅朗は、その子を見てておくれ。」

 「え…。ちょっ待っっ……。」

 反論を期す前に、ばあちゃんが襖の前から消える。

 冬獅朗は、再び大きなため息をついた。

 あたりに沈黙が訪れる。
 冬獅朗の目は、自然と少女に向いた。

 すやすやとなんとも気持ちよさげな寝息をたてて眠る女。 
 
 「呑気な奴だ…。」

 眉を下げ、笑む。
 そっと、少女の額に手をやった。