二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 異世界リンク! =銀魂編= ( No.12 )
- 日時: 2011/06/11 05:58
- 名前: 野宮詩織 ◆oH8gdY1dAY (ID: AzZuySm.)
- 参照: 小傘の可愛さが尋常じゃない件について←
ヅラの後ろに見える金太郎は、今にも死にそうな状態だった。
「本当は俺らなんかじゃなくて、飼い主の爺ちゃんに死に水をとってもらいたかったんだろうな」
「……どうだかな」
俺の言葉をヅラが否定した。
「医者から聞いた話だとこんな病魔に蝕まれながらも生きているのは奇跡に等しいらしい」
ヅラはその後、金太郎と爺ちゃんの関係について説明しだした。
この金太郎は「飼い主である爺さんにあの世までつき従って行こうとするほどの忠犬」だそうだ。
「決めたアル。 私、この子をじーさんに会わせてあげるネ」
そう言うと、神楽は立ちあがり、金太郎が入っているケージを開け始めた。
「何を言ってるんだ!? こんな状態の犬を連れだすつもりか? そもそも、肝心のおじいさんも死の淵にあるんだぞ!?」
ヅラが珍しく正論を言った。
確かに、理にはかなっている。
しかし————————————
「男には貫き通さなきゃいけねぇー信念があるんだよ」
神楽を止めようとするヅラの前に刀を差しだし、これ以上の接近を許さないようにする。
神楽がケージを開けると、そこにはヨボヨボながらしっかりと立ちあがっている金太郎の姿があった。
「「「お、お前……」」」
3人とも、同じことを思ったらしく、同時に声をあげた。
「こいつがこんなにボロボロになっても、必死に生き続けているのは、多分、ずっと主人の傍にいたいからに決まってるアル」
神楽が強い意志を瞳に宿らせて言った。
その言葉に心を動かされたらしいヅラが金太郎を抱きあげた。
「そうか……。 小さな侍殿。 いざ、おじいさんの下へ行」
ヅラが真面目な顔のまま、金太郎をより一層、高い位置へと持ち上げ、叫んだ。
「くわけねーだろォォ!!」
そう言って、金太郎はヅラの顔面に見事なドロップキックを入れた。
この見事で鮮やかな蹴り、世界を狙えるんじゃないだろうか。
この光景がテレビ中継をされていたら「金太郎選手、10点です!」と解説員の人が嬉しそうに叫んでいたことだろう。
「忌々しいジジイに封印され苦節18年。 恐怖の大王の復活の刻が来たのだァァ!! フハハハハハハ!! 地球はもうおし…ゴホッ!! ヤベッ! 苦しっ」
金太郎が二足歩行の状態でそう叫び、咳込んだり吐血したりし始めた。
地球よりもこいつの方が先に終わってしまいそうだけど、大丈夫なのか……?