二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: カゲロウデイズ〜今、何時?〜 ボカロ小説 ( No.100 )
- 日時: 2012/03/04 19:25
- 名前: 鏡猫 (ID: lL8RIxSj)
第3話 夢と現実
「っば!!」
「うわぁ!」
後ろから急にリンが現れて驚いた。
「もぅ、レンったら猫ちゃんとばっか話してて全然気付かないんだから。」
「ごめん」
「まぁ、いいけどね。」
リンは、ブランコの上に座っているクロを抱き上げて、クロが座っていた場所に座った。
そういえば、今何時頃だろう?ずっとクロと話してて全然気にしてなかったけど。
そう思ってポケットから携帯を取り出し、時間を確認しようとした。
だけど、もうすでに太陽の日差しは強くて画面は真っ暗だった。
「リン、今何時?」
「んー・・・ちゃんとに電源入ってるじゃん。」
リンは、俺の携帯を覗いてきた
「画面が暗くてよくみえないんだよ。」
「えっと、8月14日午前9時6分29秒・・・あ、31秒!」
「そこまで詳しくなくていいよ。」
でもよくそこまで正確に見えるよなぁ。
「本当に目、いいよな。」
「え?そんなことないよ。」
「じゃあなんで、携帯の画面見えるんだよ」
「向きが違うからじゃない?」
いや・・・向きが違うからってそう変わるもんじゃないと思うんだけどな。
日差しが、画面にあたってるのは一緒なんだから。
そういえば、リンが抱いてるクロ。
俺が外に出たのが8時な訳だから、1時間くらい日にあたってるんだよな?
こんな暑い日差しのなかリンは、なでていて熱くないのか?
「その猫、触ってて熱くないか?」
「えぇ!そんなことないよ!」
「そうかなぁ。」
「なんなら触ってみる?」
「触ってみようじゃないか。」
そっと、手を伸ばして猫に触れようとした。
あれ?この光景。どこかで見たことがある。どうしてだろう?
初めてのはずなのに。
あぁ、そうだ。今日見た夢。
その夢に似てるんだ。どうしてあんな夢思い出しちゃったんだろう。
「でもまぁ、夏は嫌いかな?」
「は?」
やっぱり、この言葉、この俺の反応。
全部今日みた夢と同じ。何か嫌な予感がする。
考え事をしながら、猫に触れようとしていたのでまた、思いっきり猫に触ってしまった。
「あっつ!!」
そういうと、クロは、リンの膝から飛び出した。
「ほら、もう。猫ちゃん逃げちゃったんじゃん!」
そういって、クロを追いかけようとする。
それを俺は、腕をつかんで引きとめた。
「レン・・・?」
「え、あぁ、今日はもう帰ろうか。」
「もう?速いなぁ。まだ会ってからそんなに時間たってないよ?」
「うん、でも明日も会えるんだし。」
「そっちが呼び出しといて何言ってんだか。」
「あはは、そうだよな。俺、変だよな。」
数秒の沈黙が続いた。
俺は、リンの腕を引っ張り、リンの家の方向へ向かった。
「送ってくよ。」
「うん」
道を抜けるまで、俺達はなにも話さなかった。
道を抜けた時、周りの人達は何か騒がしかった。
様子を見てみると、皆口をあけて上を見上げていた。
俺も気になったので、一旦止まってから上をむいた。そうしたら、上から鉄柱が降って来ていた。
そうか、ここって工事現場だったっけ。危ない所に抜けてきちゃったな。
「きゃあああああ!!!」
急に、知らない人の叫び声が聞こえた。
この時、俺はうかつだった。リンが、俺の後ろにいるってずっと思っていたからだ。
でも、その叫び声を聞いて視線を前に戻した時、そこにリンはいた。
体に鉄柱が突き刺さり、そこから大量の血が噴き出していた。
その姿は、とても見ていられなかった。
「リィィィィィン!!!」
嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!
その俺の興奮を落ちつかせるように、木々の隙間から風鈴の音が聞こえた。
だが、それは逆効果で、これが嘘じゃないんだっていっているようなもんだった。
だから、もっと興奮してしまった。
こんなの嘘だ!夢に決まってる!そうだ、嘘だ、夢だ、嘘だ、夢だ。
それを落ちつかせるように、クロに似た黒猫が俺の下を歩き回った。
「夢じゃないぞ」
まただ、また、俺の形、俺の声をした陽炎がわざとらしく嗤ってそういった。
「うるっさい!!」
これは、夢なんだ!そうだ、これは、全て夢、夢、夢なんだ!
くらっと、目の前が暗くなっていく。
そう、これでいい。
これで、全て眩んで、夢でしたっていう落ちで。
また、最初からやり直すんだ。今度は、ちゃんとにリンを殺さないように。
俺は、体重が支えきれなくなってその場で倒れた。
倒れる前に君の横顔が見えた。その顔は、本当は痛みに苦しんでる顔のはずだろうに笑っているように見えてしまった。