二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ネジと歯車とプライド〜「私達に心などいらない」〜 ( No.154 )
- 日時: 2013/10/26 21:00
- 名前: 鏡猫 (ID: bpc70dxM)
第2話 プライド
アタシは新しく落ちてきた鏡音をしばらく観察する
しばらくの間そいつはゴミ処理場の中をウロウロと彷徨っていた。
しかし、正常に起動しているのはアタシとレン、そしてGだけだ。
無駄だと知っているのだろうにそいつは正常に動くことのできないそいつらに話かける。
レンとGもその鏡音に興味を湧いたらしい。
この中では新しい“人格”
興味を持つのも不思議じゃない。それにこんなに奇麗な形で落ちてくるのはあまりないのだから。
レンは奇麗だけどGの製品は少し古いらしくさびている部分もある。
それでもそれはただ結構前からここにいる、っていうだけであって壊れている訳じゃない。多分。
アタシは片目壊れちゃったし。まぁ人間みたいに片目が失ってバランスが崩れることはないから別にいいけど。ふと鏡音は足を止めてアタシの方を向く。
「ねぇ、なんで私達はうまれたのかな…。ここにあるのは全て鉄屑ばかりで…。同じような製品ばかり。古いのもあるけど。」
「………いきなりなんだよ」
「何で私達をうみだそうとしたのかな」
「…正確にはアタシ達をうみだそうとしたんじゃない。自我をもたない玩具をうみだそうとしたんだ。それが、あいつらのプライド」
「ぷらいど?」
駄目だ、こいつ。馬鹿なんだろう、きっと。
知識はあるのに考えようとしない。
自我があるのに自分のことが理解できていない。
「自我をもたない玩具をつくりだすのがあいつらのプライド。それを汚したアタシらは不要な存在。イレギュラー」
「??」
「そのうち分かるよ、」
「……うん」
そしてまたそいつは散策を始めた
「何してんだ、あいつ」
「出口を探しているんじゃないかな」
「出口ならすぐに見つかるだろ、」
「違うよ、あの子は“どうして出口があるのに誰も動こうとしないのか”という事を理解する為の出口を探しているんだ」
そんなの決まっている。
外の世界に出たって良い事なんてないからだ。
いったことはないけど知ってるんだ
不良品だからとアタシらを捨てたあいつらの住む世界なんて知っている。
不良品でもちゃんとに正常に動くし人間と同じような自我がある。
それなのになんで捨てられなきゃいけないんだ。
「一人でいけばいいのに…」
「それだと心細いだろ?リン。お前だってこの空間で一人でいたら寂しいと思わないか?」
「っな!?んなはずねーだろっ!アタシは一人でもやっていける」
本当は寂しいけど。
だって、電源を落とされ、放置され数週間起動されなかった日はすごくさびしかったし。
でもそれを正直にいうのはなんだか嫌だった。