二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 囚人 ボカロ ( No.36 )
- 日時: 2011/06/21 22:03
- 名前: 猫科の犬 (ID: 3eop5mZb)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第3話 彼女との別れ
あれから毎日君から届く紙飛行機。
それがレンの喜びだった。それだけが喜びだった。
でも、ある日のことだった。
いつも通りに君から紙飛行機をもらう。
でも今日はただ立っているだけでもふらついているように見えた。
その紙飛行機をもらってレンは文章を読み始める。
そこに書かれていたのは、ただ1行でよわよわしく書かれていた。
「遠くにいくのよだから バイバイ」
ただその1行だけ。1行だけだった。
そして今日は、彼女はいつもより速く帰ってしまう。
「待ってるから!」
レンは、彼女が遠くに行く前に叫んだ。
それが規則を破るということを忘れて叫んだ。
すると彼女は、立ち止まった。振り向いてはくれなかったけど。
運がいいことにそこに係の人は、いなかった。
他の囚人もいない。いつものことだが。
「ずっと待ってるよ!この手紙・・・全部の紙飛行機を大事に、大事に持っていたら、また会えるよね?」
彼女は何もいわずにいってしまった。
振り替えもせずに帰ってしまった。
そしてレンは草取りを開始する。それと同時に手紙を隠す。
ちょうど係の人が来たのだ。
きっとさっきの叫び声を聴いてやってきたのだろう。
「うるさいぞ!」
怒声をあびた。
レンは、緊張の糸が解けたように泣いた。
それは、怒られたからではない。彼女ともう、しばらく会えないと思ったからだ。
「フン!泣くのもいい加減にしろ。」
そうい行って係の人は姿を消した。
それでもレンはまだ泣いていた。ついには四つん這いになって涙をながした。
今まで苦しみながら今日まで生きていた中でこれだけ泣いたのは初めてだった。
今までは、数分で泣きやんだ。
だけど今回は、数分ではなく数十分ないたのだ。
体の水分が消えて行ってしまうのではないかというほどに泣いた。
それほど別れが悲しかったのだ。
君がいればどんな運命も笑顔で乗り越えられると思っていた。
「自由になれる」という言葉をきいても、心からではないが笑顔でいられたように。
君がくれた紙飛行機が笑顔をくれた。笑顔に変えてくれた。
名前も知らない君とであって、未来が輝いている気がした。
今まで、僕の未来なんてないと思っていたのに、輝いてるような気がしてならなかった。
花のように奇麗で優しい君と出会えて、僕の人生は少し希望を持てた。
なのに・・・・なのに・・・。
もう、しばらく会えないなんて・・・。
レンにとってそれは、信じられなかった。信じれなかった。
「嘘」だと思いたかった。