二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 囚人 ボカロ ( No.38 )
日時: 2011/06/24 21:45
名前: 猫科の犬 (ID: 3eop5mZb)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第5話 最後の最後


あれから、何カ月たった。
レンは今何カ月たったか覚えていない。
そこへ誰かがやってきた。

「来い。」

どうやら今日がその3ヶ月後らしい。
レンは、少しの抵抗を試みたがやめた。
どうせまた捕まって殺されるんだということを知ったから。

数分後、誰もいない真っ暗な3ヶ月間いた部屋とあまりかわらない部屋へ連れて行かれた。
だけど少し違う所がある。
それは、天井や壁についている穴のようなものがとりつけられている。
そこから、毒ガスが発射されるのだ。
レンはそこへ入れられた。無理矢理いれられた。
扉は、ゆっくりと閉められていく。


レンは、1人で思う。



あの子がいない今。
この世に未練なんてない。
死んでもいいって思っている。思ってるはずなのに
なぜだろう「ココロ」は、そんなこと思っていない。
「イキタイ」って叫んでる。「アイタイ」って叫んでる。
もう会えないってわかっているのに・・・。

これは決して難しい思いじゃない。僕が本当の気持ちに気づいていないだけなんだ。

だから・・・・だから最後に。


「待って!!!」

レンは、扉がしまる直前になって、扉の方へ近寄る。

「会イタイんだ!あの子に!だから・・・待って!!!」

そういっても扉はどんどんしまっていく。

「会いタイよ・・・。だから・・もう少しだけ・・・。」

レンの声はどんどん小さくなっていく。それと同時に扉もしまっていく。

「会いたイよ・・・。」




会いたい。





レンは涙を1粒。1粒と流した。



そして毒ガスが挿入される。







もう2度と彼女との時間は戻らない。
ここまで来てしまったら、決して戻らない。

ただ戻ってきているのは、彼女と過ごした記憶。

記憶が、レンの頭の中で走馬灯のように通り過ぎていく。

1つ。そしてまた1つ彼女がくれたもの。

それが唯一レンの生きるきっかけとなっていた。
それが唯一レンの幸せになっていた。
それが唯一レンの未来への輝きになっていた。
それが唯一レンの笑顔になっていた。

闇が。死がうずまいているこの雑草の中で、奇麗に咲く綺麗な青い薔薇のような一輪花

雑草と花。

生きていく世界。

自分達の身分。

なにもかもが違った。だけどレンは、いつのまにかその花に必死になって手をのばしてた。


「お願いします。もしこれが、最後だというのならば、僕に。僕にあの子と話しをさせて下さい。」


誰もいないその部屋でその声は響いた。

その声は反響してレンの耳に届く。

「グッ!!」

毒の勢いで血を吐いてしまう。それでもレンは願った。
もう立ってられないほどになっていても願った。

するとレンは、あるものをみつけた。
そこには、1枚の紙切れが捨ててあった。ただの紙切れ。何も書いていない紙きれ。

だけどレンは、それが紙きれだと思わなかった。
彼女からもらった紙飛行機の1部分だと思ってその紙を手を伸ばしてつかもうとした。

そしてまた涙が流れていく。

しかし後もうちょっとの所で急に苦しくなった。

胸が痛い。
息が苦しい。

レンは伸ばしていた手をひっこめた。

「まだ・・・生き・・た・・い」

その声が部屋中に響く。








そして最後の最後に叫んだ。

「せめて!!せめて・・・・君の!!!名前だけでも・・・!!」




















「知リタカッタ」