二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紙飛行機 ボカロ ( No.45 )
日時: 2011/07/13 18:50
名前: 猫科の犬 (ID: L1jL6eOs)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第5話 雑草と花

あの日から幾月たった。
約3ヶ月くらいだろうか。そのくらい月が過ぎ去った。
リンの体は、もうほとんど動かせない状態だった。
だけど、リンは父に貰った彼の最後の手紙を弱弱しく、だけどしっかり握っていた。
父は、今大事な仕事の途中でリンの病室にはいない。
そして病室には、奇麗な青いバラが飾られていた。


お迎え。もうすぐ来るのかな・・・?
ママの所にいけるかな・・・。


あの時別れる時に、なんであんな強がっちゃったんだろう。
今更後悔しても遅いのに、なんか心が叫んでる。
違う。心が叫んでるんじゃない。自分があの子に会いたいって思ってる。

今もどこかで笑う君に会いたい
今もどこかで働いている君に会いタイ
今もどこかで泣いている君に「アイタイ・・・。」


リンは、意識も遠くなってきて手紙を落としてしまった。

光も何も当たらないこの部屋で1つの花は、枯れてゆくの待つだけの運命だった。
しかし、1つの雑草からの手紙は、その花の光となっていた。
そう例え雑草でも心は、ある。
汚くても雑草にも心は、ある。
1つの花は、その心にひきよせられた。
どんなことがあっても諦めないその目に恋をした。
また、その雑草も1つの花の笑顔にひきよせられた。
何があっても、笑顔をみせてくれた花に恋をした。


もう、こんなんじゃ君の手紙も読めそうにないな・・・。
目の前がかすんで見える。
この部屋に響いている無機質な音が、リンの耳にものすごく響く。

お願い。お願いよ。もしこれが最後なら、いかせて・・・君の元に。


いつのまにか、リンの父は病室に来ていて最後の手紙をリンの手にしっかりと握らせていた。

リンは、少しだけかすんでいた視界がはっきり見えたような気がした。
そして父は、笑っていた。

父は、もしこの世でこの子の恋がかなわないまま死んでしまうならあの世で叶えて欲しい。
幸せになって欲しいという思いで、最期は、思い切り笑っていた。
まるで、『大丈夫、あの子はリンの近くにいるよ』とでも言うように。

そして部屋に響いていた無機質な音が、どんどん消えていった。
最期
リンは静かに息を引き取った。
だけど、その顔は幸せに満ちたような笑顔だった。