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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 少女と黒い猫 ボカロ リク的なもの募集中 ( No.52 )
- 日時: 2011/07/31 22:34
- 名前: 猫科の犬 (ID: LsYW7S6m)
- 参照: http://www.pixiv.net/member_illust.php
第5話 帰ってきた故郷
リンは、一歩、また一歩と進んでいった。
戦争から逃げ出し、偽りの母と父に出会い。黒い猫と出会い。
故郷の花を貰い。故郷のことを思い出し。
偽りの父と母の家から旅立ち。
故郷へいくまでにいろんな風景、遊び、友情を思い出した。
そして、リンは今故郷へ再び帰ってきた。
そこは、幼きリンの記憶にはとても程遠く滅んでいた。
故郷のあの白く、奇麗で優しい香りをした花も枯れ果てていた。
「お父様。お母様。そして故郷の一緒に戦ってきた皆。只今、私。鏡音リンは帰りましたっ・・・。」
リンは、よわよわしく。だけど力強く言い放つ。
『おぉ。姫様!ずっと待っていたのですよ!!』
『リン。おかえりなさい。』
『リン。おかえり!ずっと皆で待っていたんだぞ!まだお前がこないなって。心配してたんだぞ。』
仲間や母や父のそんな声は聞こえてこない。
誰も迎えに来ない。
何もかもが失った。この庭。故郷に少女とその少女に抱かれている黒い猫だけが眠っているだけ。
「お・・・父様。帰りました・・・。今。リンは、帰りました・・・。」
少女は、泣くすんぜんの声で。よわよわしい声で今度は言った。
「リンは・・・。リンは・・・。」
少女の瞳から1粒1粒と雫が落ちてゆく。
そのうちの1粒が黒い猫に当たった。
黒い猫は、その雫にビックリして少女の腕の中から飛び降りた。
「ごめん・・なさい。ごめんなさい。リンが。もっと早く帰ってこないから・・・。リンが・・・。」
少女から今度は雨のように雫が落ちてゆく。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
そしてついには、ひざを地面について、顔を手で押さえた。
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