二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鎖の少女 ボカロ小説 ( No.84 )
- 日時: 2012/01/15 22:22
- 名前: 鏡猫 (ID: cHwZ8QFd)
第3話 希望?
今日も昨日と同じでリンちゃんが話しかけてきた。
どうして、そんなにしつこく私を誘おうとするのか自分でも分からなかった。
でも、その理由を聞く気もなかった。
できるだけ、誰かと話したくなかったのだ。
こんな日が数日続いた。
ある日の帰りのこと。
今日は、アルバイト先の店長が「今日は休め」と五月蠅かった。
結局無理矢理休みにされた私は、晩御飯作るにはまだ早い時間だったので海に立ち寄る事にした。
できるだけ親と一緒にいたくなかったっていうのも有るかもしれない。
お父さんは、滅多なことがない限り海には立ち寄らないから私がここで道草くってることなんてあまりばれない。
波が迫って来るぎりぎりの所で座って海を眺めた。
海は広くて大きい。
これが広大というこのなのだろうか。
海には全てを消し去ってしまう恐怖もある。だけど逆に悲しい事を消し去ってしまう事も出来る。
でも…
私は、砂浜に「希望」って文字を書いてみた。
馬鹿みたい。
もう、友達も夢も全部捨てて来たっていうのに今更「希望」なんて。
「よっしゃ!今日は、お前の番ね」
遠くで子供たちの声が聞こえた。
1人の子が皆の分の鞄を持っている。昔は、あんなことよくやってたなぁ。
友達といつも遊んでて、勉強なんてほったらかしてた。
点数なんて昔じゃすごく低かったし。例えるならリンちゃんかな。
でも、私はその時お母さんがいたから許せる範囲で許してくれた。
今は、全然違うけど。
「あ。」
私が書いた「希望」という文字が消え去ってしまった。
そうだ。昔のことを思い出している場合じゃない。
もう、昔には戻れないんだ。しっかりしなきゃ。
——ソウ、ソレデイイ
もう、帰ろうかな。
「あ!ミク!偶然だね!いつも先に帰っちゃうからいつも何処いってるんだろうと思ってたんだ。」
リンちゃんか。一体何の用だろう。
「いつもここにきてるの?」
「きてない。」
「じゃあ、いつも何処にいるの?」
——関係ナイ
「別にリンちゃんには関係ないでしょ!?」
私は、ふと立ちあがってすぐに家へと速足で帰ろうとした。
「ねぇ!ミクはなんでいつも1人なの?」
「それは…」
思わず足をとめた。
話していいのか戸惑った。
——無視スレバイイ
無視なんて出来ない。
せっかく2人きりの時間が出来たのに見逃すなんて。
「ミク!こんな所にいたのか!お前が今日家に速く帰ってこないから俺が恥じをかくはめになっただろう!?」
珍しい。ここまで来るなんて。
「恥じ」か。どこかの配達屋でも来て対応に困った、っていう所かな。
それで、八当たりするために私を探しに来た。
そんなところだろう。
「ごめんなさい。今すぐ帰ります。」
何してんだろう、私。
他人に一切自分の事を話さないにしようって思ってたのに。
同情なんてされたくないって思って話さないってきめたのに。
あぁ、今日はまた新しい痣が出来るかな。
もう慣れたけどやっぱり痛いんだよね。
——ソウサ、自分ハ操リ師ニ操ラレテイレバイイ。
もう一度人生をやり直せるならやり直したい。
これが元々作られた物語なら全てを真っ白に塗りつぶし、また書きなおしたい。
それが駄目なら、この家から抜け出したい。
でも勇気がない。抜け出した後につかまった後が怖い。
——感情ハ表ニダサズ、裏ニシマッテオケ
誰にもいわないし、誰にもいえない。
実行しないし、実行出来ない。
勇気がないから、何も出来ない。