二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: カゲロウデイズ〜今、何時?〜 ボカロ小説 ( No.98 )
- 日時: 2012/02/25 10:44
- 名前: 鏡猫 (ID: lL8RIxSj)
第1話 黒猫
どこかの公園の入り口から真っ直ぐいった所にあるブランコの上。
黄色い髪をした2人の少年少女が座っていた。
公園を出るとすぐ目の前に道路がある。
そこの道路は、車通りが多く信号機がついている。
俺は、携帯の画面を見てみた。
だが、日光に反射してよくみえない・・・
「リン、今何時?」
「ん〜?」
隣に座っているリンは、俺の携帯をのぞいてきた。
「ちゃんとに、電源ついてるじゃん。」
「日光に反射してみえないんだよ。」
「えっと、8月15日の午後12時32分23秒、あ!25秒」
「そこまで細かくなくていいから。でも、よく見えるな。こんな真昼でこんな画面暗いのに。」
8月15日って言う事は、今はかなりの真夏。
かなり日差しも強いし何もしてないのに汗がわき出るほど暑い!夏が終わったらかなり日焼けしてるんだろうなぁ。
と、いうか帽子もってくればよかった。頭が熱い。熱中症になる。
しかも真昼っていうと太陽の位置が一番高い訳で、太陽の光は、どこにいっても画面に反射する。
「みる方向が違うからだよ。」
「それは、ないと思うけど。」
「なんで?」
「なんとなく。リンの目がいいだけだろ?」
「えぇ!そんなことないよ!ねぇ、猫ちゃん?」
リンは、膝にのせている真っ黒い猫に話しかけた。
猫は、目いいと思うけど。なにせ夜目がきくからな。
でも本当に真っ黒だよな。黒は結構光を集めるっていうし、暑いだろうなぁ。
「その猫、触ってて熱くない?」
「ん〜・・・熱くないよ。」
「嘘だ」
「本当だよ!なんなら触ってみる?」
「触ってみようじゃないか。」
絶対熱いんだろうなぁって思いながらそ〜っと触ってみようとした。
「でもまぁ、夏は嫌いかな?」
「は?」
リンが急に話題を変えたのでそっちに意識が向き、黒猫に思いっきり触ってしまった。
「あっつ!リン!どこが熱くないんだよ!?」
そんな大声を出してしまったので、というよりかは、思いっきり触ったっていうのもあるんだろうけど、
猫はリンの膝から降りて逃げてしまった。
「あぁ!猫ちゃん逃げちゃったじゃん!」
「ご、ごめん」
そういえばリンって結構猫好きだったけ。
リンは、すぐに黒猫を追いかけるために走っていた。
でも、さっきの言葉なんだったんだろう?急に言ってきたけど・・・
なんか意味があったのかな?
俺は夏結構好きだけどなぁ。休みいっぱいあるしプール入れるし。
そんなのん気な事を思いながらリンの後を追いかけた。
「待って!猫ちゃん」
あれ、この公園を出たすぐの場所って道路じゃなかったか?
リンから目をずらして公園の出入口の方を見てみる。
やっぱり道路だった。
歩行者専用の信号は、赤だった。
でも、リンは黒猫ばっかに気をとられて信号が赤の事に気づいていない。
「リン!!」
思い切り手を伸ばしたけど遅かった。
リンはもう横断歩道を渡っていて、そこへトラックが走って来ている。
「どうしたの・・・・」
リンが俺に呼ばれてこちらを振り向いた。
それと同時にトラックが来ていることに気づく。
トラックは、急ブレーキをかけたが遅かった。
「リィィィィイイイイイン!!!」
叫んだのとほぼ同時にリンの血がそこらへんに散らばった。
近くにいた俺の脚にもリンの血がついた。
でもそんなの気にならなかった。
君の香水のにおいと血の赤い色が混ざり合い見れなくなった。
むせかえりそうになる。と、いうよりかはむせかえった。
「こんなの、嘘だ。嘘に決まってる。絶対そうだ。これは夢なんだ。」
『嘘じゃないぞ』
声がした方をみるとそこには地面から炎が立ち上っていた。
でもそれは段々形となっていって俺と同じ姿、俺と同じ声になった。
あれは、陽炎か。陽炎がこっちを向いて嗤っているのか。
「嘘じゃないってなんでそういいきれるんだよ!」
それ以上陽炎は何もいってこなかった。
大体陽炎が喋るはずがないんだよな。そうだよ、これは全て嘘だ。
でも、嘘じゃないっていうように蝉が煩く鳴いてくる。
あれ?蝉なんて鳴いてたっけ。
こんなに空は水色だったったっけ?
夏は、こんなに暑かったっけ?
そんな思考が俺の中でぐるぐるまわってついに目眩を起こした。
耳鳴りもする。そして、俺は自分の体重を支えきれず倒れた。
倒れるすんぜんに黒猫を見たような気がした。