二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナイレ*最強姉弟参上?!*参照3000突破…?! ( No.870 )
日時: 2011/09/01 02:52
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

—狭間で。

キャラ達の短編・3 *


忘れられない…あの日の光景。


この部屋の花瓶に花をさすと、少しだけ華やいで見える。かすみ草とか…静かな感じの花で固めたけど、これで良いもんなのか。

俺は魁渡のベッド際に座る。怖い…本当に、魁渡は動かないんだ…。

蓮から聞いてはいたけど。

鈴「『俺は悪い事があっても、跳ね返して見せる。』そう言ってただろ?」

膝の上の手が震える。

怖い、悲しい。俺にも、こんなに喜怒哀楽があったなんてな。全然…知らなかった。

初めて会った時から魁渡は強そうで、案の定強かった。その強さに引きつけられて、引っ張られて気付けば日本1になってた。

呆気なかったけど、サッカーはプレイしても楽しいって気付けたのは魁渡のおかげかもしれない。

鈴「日本1に…なったんだ。」

涙が手の甲を濡らす。

何で…あんなに泣いたのに。涙って枯れなくって、本当に吃驚する。涙を拭って、眠る魁渡に話しかける。

鈴「また…日本1になったんだ。魁渡…また…」

視界がぼやけた。頬を冷たい物が伝う。また一滴。

ダメ、今日はもうダメ…。南沢鈴音、涙に勝てません。

鈴「バカ…戻って来てよッ…」

俺の声が、白い病室に響く。





信号が青になる。

病院前の横断歩道を渡って家に帰る。涙の後はまだ残ってるだろうけど仕方が無い。

魁渡が居ない事を、どんなに意識しても。
魁渡が居ない事を、どんなに意識しなくても。

あの賑やかな日々が、記憶として残ってるから、だから…俺は哀しくなる。

時計の針は戻せない。
過ぎた日々は戻って来ない。

それは分かってる、でも…。ただあの日々が楽しかったから。

里「鈴音、、、」

鈴「里愛っ!?」

目の前に里愛が立っていた。どうして此処にいるのか、疑問に思いはしたが…。俺の顔は泣き顔なのか。

里「泣いた…?もしかして見舞いに?」

鈴「まあ…。ダメだな、もうあいつの顔見るだけで…」

俺もう良いんだ、って言いたげな顔。戻って来て欲しい、でも魁渡は望んでいないのか?

里「魁渡は絶対戻って来るよ、絶対に!!だって悪い相跳ね返すって言ってたじゃん!」

鈴「!」

里「もう戻って来られないかもしれない、それを悪い相だって考えれば…戻って来るって思えるよね?」

里愛…。

戻って来る。そう、魁渡はきっと戻って来る…俺、魁渡のこと信じ切れて無かったのかな。

里「雷光FCの仲間が、そう簡単にやられる訳無いよ!!」

鈴「…ああ、ありがとな、里愛…。」

心に、そっと里愛の言葉を残す。

少し暖かくなった心。それは、仲間がくれたもの……。



若葉がひらりと舞い落ちる。
そろそろ、夏が終わる—。