二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ボカロ小説 空と海のコントラスト ( No.9 )
- 日時: 2011/05/01 23:45
- 名前: 海穹 ◆EZarcElGGo (ID: UruhQZnK)
〜藍蝶様リクエスト〜
『人柱アリス』
誰のいない学校の屋上で私は寝そべっていた。空は蒼い。でもそんな空は少しずつ曇り始めていた。
そんな空を見つめながら私は悩んでいた。
最近、皆、私を頼り過ぎだと思う。何かあれば私に助けてって言うし、面倒事は全部私。
何で?
私だって普通の人間だよ?
そんなに頼られてばかりで耐えられると思う?
皆、皆、いなくなっちゃえば私の楽になれるかな。
「そうだよ。そうしたらきっとキミは楽になれるよ。誰にの頼られずに、君の好きなようにできるよ。」
空からそんな声がしたような気がした。
「そうだよね。きっとそうだよね……」
私は笑いながらそう答えた。面白半分だった、本当に、軽い気持ちでそう言った。
「そうなりたいなら、おいでよボクの中に……」
返事が聞こえた。私は驚いて跳ね起きた。さっきは聞こえた気がしただけだったのに、今度は間違いなく聞こえたから。
そして跳ね起きたその瞬間、辺りが歪んだ気がした。
ぐにゃりと目の前が歪み、体が宙に浮いた気がした……いや、気がしたではない、私は宙に浮いている。辺りも歪んでいる。
何が起こっているの……?
そう思っていた頃には私は気を失っていた。
一番初めに視界に入ってきたのは、蒼い空だった。あの屋上と同じ蒼い空。
でも私がいたのは屋上ではなかった。
辺りに広がっているのはたくさんの木、草花。森の中のようだ。
「……ここは?」
私は驚きのあまり、誰のいないはずなのにそう聞いてしまった。
「ようこそ、ボクの中に。」
誰のいないはずなのに、返事が返ってきた。屋上で聞いたのと同じ声が空から聞こえてきた。
「ここはキミの世界。ここではキミは自由だよ。」
「自由……?」
私はそう言った。自由という言葉が私の中で何度も繰り返された。
頼られない、自由……!
私は嬉しくてつい笑ってしまった。
もう誰にも頼られなくてすむ……私の自由……!!
「これでボクは覚えていてもらえるんだ……」
誰にも聞こえないような、小さな声で小さな夢はそう呟いた。
私はすべてを切り捨てて進んでいく。邪魔なものは捨てるに限るものだね。あの世界でもそうしたらよかった。そうしたら私はもっと早くにこんな気持ちになれたのに。
まあ、いいか。
今こんなに素晴らしい気持ちなんだから。
あぁ、なんて清々しいんだろう。私の世界はなんて綺麗なんだろう。ねえあなたもそう思うでしょう?
この綺麗な、赤に染められた世界を見てると。
誰にもこの赤を汚させたりしない。すべてこの赤で染めて見せよう。
誰にも邪魔なんかさせない。
ここは—————
私の世界なんだから……!!
あれ?
どうしたんだろう、私は……
どうして私は……こんなものに閉じ込められているの?
この荊は何?
こんなもの切り捨ててしまえば……
あれ?できない……切れない……
どうして?何があったの?ここは私の世界でしょう?誰の邪魔できない、私だけ世界……
いらないものは捨てる、邪魔なものは切って進んでいく……
そんな世界……
だって、空だってそう言ったじゃない……
荊が私の視界を遮る。その荊を掴む私の手は赤く染められていた。鮮血が私の手に広がる。私の手。
どうして?
邪魔なものは切り捨てる……邪魔なものを斬ってこの道を、この世界を赤く染める……
あぁ、そうか……
私がこの世界にとって邪魔になったんだ……
「また、誰か探してこないと……」
小さな夢はそう呟く。
そして夢はは駆けていった。
次の
『アリス』を探しに———————