二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【青の祓魔師】 -月楼の紡ぎ歌- 【短編集】    ( No.12 )
日時: 2011/10/10 20:25
名前: ぽんこ ◆xsB7oMEOeI (ID: dY0niJTv)










【彼の理由が知りたくて 後編  】






あっと出雲が気付いた時には既に遅く、こちらを見つめる勝呂と目が合ってしまった。
勝呂は子猫丸が気まずそうに立ち往生している脇を通り過ぎると、ずんずんとこちらに向かってくる。

「やばいわね」
「やばいですね」
「お前らさっきから何二人でコソコソしとんねん?」

怒声を浴びせられるかと思ったが、意外とその声に険しさはなく、ただ単に二人の行動の意味をたずねるだけにとどまっていた。
どうしようかと言葉に詰まった出雲の横から、志摩がすかさず助けの手を差し伸べる。

「いやアレですよ、坊てあのえーとめっちゃ成績優秀ですやん! 
 俺らには分からへんところでえろう苦労してはるんやろうなーって二人でウワサしとったんですわ」
「じゃあ何で神木が『変態』なんて言葉使うんや」
「そ、それは……」

とその時、タイミングよく奥村燐が教室に入ってきた。

「いっけねー忘れモン忘れモンっと……あれ? みんなまだ残ってたのか?」
「おぉ! 丁度いい時に来たな奥村! お前に言いたいことがあってウズウズしとったんや」
「えっ?」



まさか——

出雲と志摩の間に緊張が走る。

まさかまさか、本当に彼は奥村燐のことを——?


勝呂は燐を真っ直ぐに見つめ、よどみなく言いきった。



「お前のカバンについとるそのキーホルダー、どっかで見たことある思うたら、俺のいとこが誕生日にくれたやつとおんなじもんやったわ」



——え?



「さっきお前が教室出ていく時に思い出してな。最近どうも引っかかっとったんやけど、これで勉強に集中できるわ」


「ほな俺はこれで」と、何事もなかったかのように教室を後にする勝呂を見つめながら、あとに残された出雲と志摩はただポカンと口を開けてその場に突っ立っていた。

「ああ、またなー!」
元気よく手を振る奥村燐の後ろで、出雲が鋭く言い放つ。


「やっぱりアンタは変態だったってことね」
「出雲ちゃんっ!!」



もちろん、陰でそんなやり取りが交わされていたことなど、勝呂はこれっぽっちも知らないのであった。














                        end