二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 青の祓魔師 -ちいさな物語たち-    ( No.9 )
日時: 2011/10/10 20:27
名前: ぽんこ ◆xsB7oMEOeI (ID: dY0niJTv)






【彼の理由が知りたくて 前編 】





「なぁ出雲ちゃん、これからちょっとだけ時間ええ?」

祓魔塾にて、授業終了のチャイムの後。
いつものように帰り支度をしていた出雲は、授業が終わるなり志摩に声をかけられた。
驚いて見上げると、志摩が困ったように笑いながら頭をかいている。

「いきなりで悪いねんけどな」
「何よいきなり。 あたしそんなに暇じゃないんだけど」
「あ、ほんとにちょっとでええねん。まぁできれば近くのファミレスとか行って楽しくおしゃべりしながらなんて——待って! 帰らんといてぇ!」

志摩が後を追いかけながら「坊のことやねんけど!」と叫ぶと、出雲は足を止めて振り返った。

「アイツがどうかしたの?」
「あれ、もしかして出雲ちゃん、気付いてない?」

志摩は向こうの方で勝呂が子猫丸と話しているのを確認すると、口元に手を当て小声でささやく。

「……最近、あの人なんかおかしいと思わへん?」
「おかしいって……別に普段どおりじゃない」

出雲が勝呂の方を見ると、ちょうど彼の後ろで奥村燐がカバンを肩に引っ提げて立ち上がるところだった。
志摩は勝呂を凝視したまま小声で言う。

「あっ、ホラ奥村君出ていく! 出雲ちゃん、坊の視線よう見といてぇや」
「ホントに何なワケ? あたしは暇じゃ——」
「ほらほらあれ! 見て!」

言われるがまま、出雲はしぶしぶ勝呂に目をやる。
奥村燐が勝呂の横を通り過ぎた。
するとその時、勝呂が確かに奇妙な行動をとったのだ。

子猫丸との会話の途中で、彼は何かに吸い寄せられるように、奥村燐の後ろ姿に釘づけになった。
奥村が教室を出ていくまで、彼はずっと後ろ姿を眺めていた。

「……確かに」
「やろ!? アレは絶対なんかありますもん!! よかったわぁ変と思うたの俺と子猫さん以外におって!」
「うーん、今のはかなり怪しかったわね……何なのかしら?」

ちょうど出雲が言い終えるのと、子猫丸がこちらに気づくのが同時だった。
子猫丸は坊に気付かれないよう顔をこちらに向けて、軽く肩をすくめてみせる。
志摩が口の形だけで「お・か・し・い」と返すと、子猫丸は小さく笑った。

「出雲ちゃん」
「は?」
「俺、まさかとは思うねんけど」

志摩はいつにもまして真面目な顔つきで出雲の方を見る。


「坊まさか禁断の愛に目覚めてしま」
「アンタはなんでそう考えることが変態なのよ!!」


出雲の大声に、勝呂がこちらを振り返った————









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まだ続きますorz