二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ナビ・ルナ&ムスビ ( No.159 )
日時: 2011/08/21 17:45
名前: ルルにゃん ◆8/MtyDeTiY (ID: tpknTIYj)

「朱雀は南をつかさどる四神。朱雀は、おいらたちを呼んでいるってことなのか?」
『そんなの、わからないわ。ルナはどう思う??』
「わたしにも、わかんないよ。わたしはスネリみたいに鼻は良くないし。ていうか、いくらわたしが伝説の子でも、巫女だのってチカラのことは、わかんないって。」
 ルナちゃんの四神とか朱雀とか、伝説の子とか、わけわかんないけど、今は誰にも先が読めないってことは分かる。
「今は、討論よりも早く出発して、何か探そう!」
 知らず知らずのうち、そんな言葉がわたしの口をついていた。

「わわわ。うそでしょ。空飛んでるよ!!」
「ホント!!落ちちゃう」
『落ちたら、死んじゃうですよ!』
 大ふくろうのもっけくんに乗って、空を飛んでいる…不思議だ。
「いや、わかんないよ。下が海だったら、衝撃的には大丈夫かも。」
『し、ししし下の海って、アレがいるですよね!』
「ああ、サカ……」
 莉々の口をふさぐ。ここで失神されて落ちられたらかなわない。
 しばらくして、突然、もっけくんが「ぼぉ〜。」と鳴いた。
「沖縄だぞぅ。急降下するから、みんなしっかりつかまっとけよ。」
 わたしたちは、素直にもっけくんにつかまる。ルナちゃんはスネリちゃんを抱っこしているが、ムスビはでっかくて無理だ。なので、デイパックの中に入れた。後ろが重くて、わたしが落っこちそうだ。
「行くぞ!!」
 ぎゅんっ、と急降下して、砂浜に着いた。
「わあい、海だ!!」
「久しぶりに来たわ。沖縄は初めてだけど。きれいなのね。」
『うぅ、アレがいるです……。』
『わたしは、水が嫌いなのに。』
『ぼ〜。ここが沖縄か。』
 みんながそれぞれ騒ぐ中、わたしは海を見た瞬間から、不思議なチカラを感じていた。
「おばあちゃん…………。」
「幹太郎さん……………。」
 海を見ながら、思わずつぶやくと、隣りでルナちゃんの声が聞こえた。
 右を見れば、ルナちゃんもわたしと同じ様に暑い砂浜に腰を下ろし、海を見つめていた。
 驚いた。今まで、というか、昨日からルナちゃんはずっと笑顔だ。
 なのに、今は、寂しげに、切なそうに、遠い目をしている。
 ルナちゃんは、わたしに気づいていないようだ。
「幹太郎さん」
 今度は、つぶやくような声だった。ふっとルナちゃんの瞳が揺らぎ、涙が一粒頬を伝ってから砂の上に落ち、すぐに乾いていった。
「ルナちゃん…………?」
 わたしが声を発すと、ルナちゃんはこぶしで涙をぬぐい、一瞬わたしに切なげな微笑を見せ、よろよろと立ち上がって、木陰に行ってしまった。
 追いかけてはいけない気がしたので、追いかけなかったけれど。
 幹太郎。あとで、スネリさんに聞いてみよう。できれば、ルナちゃんのいないときに。
 木陰に座るルナちゃんの瞳はよく見ると緑にも見える。その瞳から、また一粒、また一粒と涙が落ちていったのだった。